栄養イベント・セミナー

【コラム】栄養士仲間に教えたい!平成最後の全国栄養士大会~現役管理栄養士が今年も参加しました~

7月28日(土)、29日(日)にパシフィコ横浜で「平成30年度全国栄養士大会」が開催されました。この記事をご覧になっている方の中で、実際に参加された方もいるかもしれません。「前回の参加レポートの記事を読んで参加してみた!」という方がいたら嬉しいです。
初めて参加した昨年は「わくわく、期待感」、そして今回は……?前回大会と比較しながら書きたいと思います。

●平成29年(前年)度のレポートはこちら!

【コラム】全国栄養士大会に参加すべき3つの理由【現役管理栄養士の29年度大会レポート!】栄養士・管理栄養士のみなさんは、「全国栄養士大会」をご存じですか? 全国栄養士大会は、年に1度開催される、日本栄養士会主催の大会。全国...
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平成30年全国栄養士大会概要


●基本情報
会期:平成30年7月28日(土)、29日(日)
会場:パシフィコ横浜
主な大会内容:
【1日目】平成30年度全国栄養改善大会、鼎談、講演、ランチョンセミナー、84 Selection 2018受賞者活動内容発表、ポスターセッションの展示と発表、企業による展示ブース
【2日目】市民公開講座、講演、ランチョンセミナー、ポスターセッションの展示、企業による展示ブース
クローク:【1日目】9:30~17:30/【2日目】9:00~17:30

レポートの最後に紹介している日本栄養士会HPでは、一部講演のレポートや日本栄養士会員限定で講演資料のダウンロードができます。

今大会も充実の2日間!


やっぱり今年も期待通り!充実した2日間となりました。そして2回目の参加でまたひとつ、これは行くべきレギュラーイベントだと、改めて思ったことがありました。

平成29年度レポートで掲載した「3つの参加理由」、
①栄養士がたくさん集まる
②栄養の最新情報とプラスαを得ることができる
③プログラムの充実度が高い

今回はこれに「④仕事の視野が広がる」をプラスします。

「前にも聞いたことあるな……」と研修で思う栄養士さんへ

栄養士・管理栄養士は臨床栄養、高齢者栄養、食育、スポーツなど様々な分野で、専門的な仕事をしています。すると「その分野をもっと勉強しよう、極めよう」と思うので自然とそのテーマの研修に参加することが多くなるような気がします。
そうなるのも無理はありません。どうせ同じ時間、お金を使うなら自分の仕事に直結する知識を得たいと思うのが普通です。また、会社が研修費を負担してくれる環境にいるならば、なおさらです。

そして、多くの研修に参加していると、その内容がだんだん重複してきます。とくに自分の働いている高齢者施設に関係することで多くなってきました。
少し違うこともありますが、「前にも聞いたことあるなこれ……」と思うこともしばしば。それは高齢者栄養が、1~2年で劇的に進化するわけではないので、当然なのです。参加しないと詳細は分からないので仕方ないのかなと思います。

■「視野が広がる」他分野の講演・セミナー

▲立ち見も出るほど人気のランチョンセミナーの様子。自分の知識にしようと熱心にメモを取っている

しかし、この全国栄養士大会の場合は前述した研修とは異なり、2日間で様々な分野の講演が多く行われます。自分の職場に関係なく、どの分野に参加してもOKです。私はあえて、仕事とは異なる分野の話を聞くことをおすすめします。なぜなら、根本は栄養の話なので、どの講演を聞いても仕事に生かせるからです。

私の場合は老健(介護老人保健施設)で働いているのですが、今回は主に「スポーツ栄養」と「JDA-DAT」の話を聞きました。スポーツ栄養の講演での「エネルギー不足になると体でどんなことが起こるのか」という話は、高齢者の低栄養問題にも生かせますし、リハビリの負荷や運動量にさらに着目しようと考えさせられました。また、JDA-DATの講演を聞いて、職場の災害対策を見直してみようと思うきっかけにもなりました。
人によってその捉え方やアイデアの発想は異なるとは思いますが、他分野の話を聞くことで今までとは違う何かに気づかされ、視野がぐんと広がることは間違いないです。
一つの分野を極めるのも大切。それに加えて広い視野を持って仕事をすることも同じように大切だと、今回参加して思ったことでした。 

■ポイントのおさらい

前年度のレポートで掲載したポイントを、栄養士としての参加者目線で振り返ってみます!

●ポイント①クローク

▲会場の間にあるクローク。キャリーバッグなども置ける

今回は会場に着いたのが開始ギリギリだったのですが、両日ともクロークには余裕がありまた。場所は前回とは違うところでした。1日目と2日目で場所が変わるのでそこも要チェックです。概要の冊子を読めば場所と時間がわかります。

●ポイント②サブバック

▲実際に持っていったバッグ。大きな荷物はクローク、会場内はサブバッグ使いが◎

やっぱりゼッタイ必要!企業展示ブースで試食をいただくときに荷物をバラバラ持っていると非常に大変です。講演によっては紙袋に資料が入っている場合があるのでそれを活用するのもありですが、必ず手に入るとも限らないのでサブバッグは持参することをおすすめします。また、荷物が多くなったらクロークスペースに置きに行くのもありですね。

●ポイント③ランチョンセミナー

▲ランチョンセミナーで実際に提供されたお弁当

前回は当日のキャンセル待ち頼みの参加でしたが、今回はバッチリ事前予約をして臨みました。けれどまた、危うくキャンセル待ちになるところでした。というのも、開演ギリギリに会場入りしたため、10:30~12:00の講演に出てからランチョンセミナーの受付に行こうと思ったのです。しかし、ランチョンセミナーの受付は11:30まで……。気が付いて本当に良かったです。ランチョンセミナーの事前予約をして安心せず、当日の受付が終わるまでは気を抜かないでくださいね。

●追加ポイント!ポイント④会場到着はお早めに

▲どの会場の受付も大盛況で受付前には行列ができる

今年は、2回目の参加で流れや会場の間取りもわかっていたため、前より遅めに会場入りしました。到着したのが講演始まる20分前くらいだったのですが、受付がとても混んでいました。スタッフさんの誘導と受付対応がスムーズだったのでそこまで時間はかからなかったのですが、クロークに荷物を預ける余裕はありませんでした。ランチョンセミナーの受付だけはやって、なんとか講演開始時間に間に合いました。何事もそうですが、余裕を持った行動を!

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1日目の講演&セミナーレポート!

ここからは、参加した講演やセミナーの内容をちょこっと紹介。まだ未参加の方は、ぜひ次回の大会の参考にしてみてください。
栄養士として学んだこと・考えさせられたこともあり、個人の感想ですがこちらも参考になれば。

■セミナー報告①カラダづくりのためのスポーツ栄養

「増量」をテーマにした講演で、これは、なかなか体重の増えない高齢者への栄養ケア方法のヒントになるかもしれないと思って参加しました。
また、講演者である鈴木志保子先生の著書を学生時代に読んでいて、一度お話を聞いてみたいと思っていました。鈴木先生の話は大変わかりやすいうえに面白くて、講演中何度も笑ってしまいました(笑)。主な内容は、タンパク質と糖質、増量に必要な栄養管理の考え方、スポーツ栄養マネジメントの流れ
スポーツ栄養マネジメントについては、よく教科書に載っている「スクリーニング→アセスメント→実施→モニタリング→評価」の流れと大きな差異はないのですが、それに加え「スタッフ連携」というのがありました。
管理栄養士は他職種と協同して働くことがあるので、この「スタッフ連携」というのはとても大事なことです。自分が仕事で行っている栄養ケアを見直す良い機会となりました。

ランチョンセミナーのお弁当は中華風。事前申し込み者は講演開始時間に余裕を持って会場入りできるので、お弁当を食べ終えてから講演を聞くことができました。

■セミナー報告②JDA-DAT

昨年もあった講演です。今回の内容はJDA-DATについて、大阪北部地震2018の事例報告、SNSの活用、これからの活動について等でした。もともとJDA-DATの活動に興味があったので、事例報告を通して活動を知ることでできてよかったです。
災害現場で起きていたことや問題点を聞くと、職場の災害対策のことが気になって仕方ありませんでした。もし、今の職場で大きな災害が起きたら、まず何をするべきか、対策はちゃんとできているだろうか、と。色々と考えさせられました。

■セミナー報告③フレイルとは?


大会場で行われた東京大学高齢社会総合研究機構教授・飯島勝矢先生の講演「老いることの意味を問い直す ー食力から考える”フレイル”予防ー」と題した講演。
「メタボ」や「サルコペニア」など、医療分野から一般的になった用語が数あるなか、まだ一般的には浸透していない「フレイル(虚弱)」という言葉。高齢者のフレイル状態は、死亡率の増加だけでなく、身体能力の低下からQOL(生活の質)の低下を引き起こします。
このフレイルの基本的な考え方から、フレイルを引き起こす一因として栄養面から解説されました。
とくに、高齢者へ行われがちな「メタボ対策(カロリー制限)から、低栄養管理のフレイル対策・予防(カロリー摂取)へとシフトするべき」という提言は、全国の栄養士・管理栄養士に、確実に伝わってほしいと思いました。

2日目の講演&セミナーレポート!

続いて、2日めの講演とセミナーの一部を紹介します。

■セミナー報告① アスリートへの食提供について

2021年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた食提供の話でした。管理栄養士は栄養管理だけでなく、食料調達から提供までのことも考える必要があります。
つまり、栄養と持続可能性という両面を考慮した食提供を求められているということです。自分の専門分野に直結した話ではありませんでしたが、管理栄養士に求められることをまた一つ知ることができました。また、市町村におけるスポーツ合宿の取り組みの話も初めて聞いた話で、とても興味深いものでした。管理栄養士の活躍の場の多さを改めて感じた講演でした。

■セミナー報告②エネルギー不足の評価

1日目にも参加した志保子先生の別講演。
女性アスリートのエネルギー不足の評価と、それを一般女性へ活用する解説という内容でした。エネルギー不足となった人間の体内変化、エネルギー不足の評価方法と考え方、と翌日の仕事にすぐ生かせるものでした。このお話で私が特に重要と感じたのは、原因検索の重要性と質でした。本当の原因を突き詰めなければ、根本的な栄養問題の解決にはならない。もちろんそれはわかっているし、実践しているつもりだけれど、自分の知識量によってその原因検索の質は変わってくるのでは……?
大学生の頃に「管理栄養士は一生勉強」と聞いたことがありますが、まさにその通りだと実感しました。

企業ブース&展示&書籍ブース紹介

ここからは、講演やランチョンセミナー以外の栄養士大会の様子をご紹介!講演・セミナーの間や前後に見て回ったりしてみるといいと思います。

■企業ブース

食品やフードプロセッサー、栄養補助食品など様々。明治のサンプル配布にはたくさんの人が集まっていました。

▲食品だけでなく調理で使うフードプロセッサーなどの家電製品の展示もある
▲食品系はほとんどがサンプルか試食の配布があり回るだけでも楽しい!
▲その場で試食できる製品も。写真は明治の新製品「THE GREEK YOGURT」

■「84 Selection 2018」の展示&示説発表ブース

このほかにも、全国の栄養士・管理栄養士さんたちの取り組みを紹介する展示ブースもありました。
示説発表は、対象者や施設もさまざまで、自分の働いている施設や対象とする方に近い事例があると非常に参考になります。

▲日本栄養士会に表彰された3つの取組み「84 Selection 2018」を紹介
▲示説はどれも栄養士として参考になるものばかり
▲実際に発表者の方が解説するコーナーも。質疑応答なども行われていた

■書籍販売コーナー

企業ブースと同じ会場には書籍販売コーナーがあります。本屋にはなかなかおいていない栄養関連本がずらり。あれも欲しいこれも欲しいと、気が付くと手元に本がたくさん……。なんてことも。

▲講演者の著書も置いてあったりするので、講演帰りに覗いてみるのもいい
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まとめ

▲去年に続き会場となったパシフィコ横浜。来年は関西での開催とのこと

初参加の前大会では、メモを取って聞くことにわりと必死でしたが、今回は2回目。勝手がわかっている分、少し余裕を持って講演を聞くことができました。
セミナー報告を読んでいただければわかると思いますが、今の管理栄養士の仕事を見直したり考えたりする機会を得られました。ただ聞くだけでなく、自分の仕事に置き換えて考えてこそ、参加する意味があるなと思いました。
講演に「出席」するのではなく、「参加」するということ。このイベント名が「大会」と名付けられている理由もそこにあるのかもしれませんね。
来年は関西での開催のようです。西日本の方も参加しやすくなるので、ぜひこのレポートを参考に来年の参加をご検討くださいませ。

●日本栄養士会の大会レポートページはこちらから
https://www.dietitian.or.jp/features/dietetic-congress2018/

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ABOUT ME
宮田 茉莉花(管理栄養士)
大好物のトマトとスポーツを入り口に「食のプロ」である管理栄養士を目指す。大学時代はスポーツ栄養や世界の食糧問題に興味を持つ。新卒で給食委託会社に就職後出向となり、現在は介護老人保健施設の管理栄養士として働いている。口から食べる喜びに気付き、摂食嚥下等について日々勉強中である。座右の銘は「日々是好日」「ご縁と健康」。