近年、子供の欠食や孤食の問題から「食育」への関心が高まっています。
「食育」は、成長過程において栄養バランスの整った食事を摂ることの大切さを学ぶ、人間にとって大切な教育の1つ。
食事のマナーや食文化、食の歴史、安心安全な食品を選ぶ方法などを学ぶのも「食育」の一環です。
生きていくうえで食事の影響を受けないことはありえません。
つまり「食育」は、人間が生涯にわたって健康的な体を作る基礎として必要とされるものだと言えます。
そこで今回は、そんな食育に関する専門知識を学べる「食育アドバイザー」という資格ついて、詳しく説明していきます。
目次
食育アドバイザーとは?
食育アドバイザーは、一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP)に認定されている民間資格。
人々が食を通じて健康的な生活を送れるよう、「食がどれだけ大切か、どんな風に必要か」をアドバイスできる立場として、食育だけでなく栄養学についても正しい知識を学んだ者の資格です。
ちなみに「食育アドバイザー」は、食育に関する専門知識を学べるだけでなく、仕事にも活用できます。
食育の分野に携わる栄養士・管理栄養士は、特に食育アドバイザーの資格を業務に役立てられるかもしれません。
そもそも食育とは何なのか?
食育とは文字通り、「食」に関する知識を教え、「育」むことです。
単に食べ物について学ぶというのではなく、食に対する心構えや栄養学、伝統的な食文化についての総合的な教育を指します。
食べることは生きるうえで誰しもに必要なこと。
人々が健康的に生きていくために、食についての知識や栄養学を学び、自分に合う適正な食を選択できるようにすることが目的です。
食育アドバイザーの役割
食育アドバイザーには、「食の大切さ」を伝えるスキルを用いて積極的に食育の普及や推進を行う、という役割があります。
乳幼児や学童、思春期の学生、中高年、産前産後の女性、高齢者など……それぞれの世代やライフステージに適した栄養の摂取方法を指導し、実行します。
アドバイザーとして各世代の人に「必要な食材や最適な食事、規則正しい食習慣、安全な食材の選び方」などを教え、健康的な食生活をサポートするのが務めです。
「食育インストラクターとの違い」は?
食育アドバイザー以外にも、食育に関する資格はあります。
その中のひとつに「食育インストラクター」というものがあり、これが「食育アドバイザー」とどう違うのかわからない……という声をよく聞きます。
簡単に言ってしまうと、この2つは認定機関がまず違います。
認定機関の違い | |
---|---|
食育アドバイザー | 一般財団法人 日本能力開発推進協会(JADP) |
食育インストラクター | NPO日本食育インストラクター協会 |
そして、学ぶ内容や難易度なども違います。
「食育アドバイザー」は初心者向けですが、「食育インストラクター」はそれより少し難易度が高くなり、より一層幅広い知識が必要になります。
栄養士の仕事にどう役立つ?
食育アドバイザーは近年、さまざまな現場で必要とされています。
多種多様な役割を持つ食のプロフェッショナル・栄養士にとっても、食育アドバイザーの資格はプラスワンとして役立ちます。
「食育アドバイザー」の資格を活かせる場所 | |
---|---|
教育現場 | 食育を授業として行う学校での指導。 食育アドバイザーとして、身体を作るために必要な食の大切さを教えられる。 |
高齢者施設、介護施設 | 高齢者でも食べやすい、栄養に配慮した食事を教えたり、献立を考えたりできる。 |
飲食業界 | 健康や美容を扱う飲食業界で、メニュー開発や説明文の作成ができる。 |
食育アドバイザーの資格の取り方
食育アドバイザーの資格を取得するには、認定元協会であるJADPが指定する講座を修了し、資格試験に合格する必要があります。
講座について
講座の費用は36,000円(税別)。
標準学習期間は3ヶ月で、短い期間で取得できます。
基礎知識からはじまり、正しい食習慣の実践にいたるまでのノウハウを4冊のテキストを使って学んでいきます。
通信講座で学べるため、いつでもどこでも勉強することができるのが特徴。栄養士の仕事を続けながら取得することもできます。
試験について
受験資格は、講座を修了すれば付与されます。
受験料は5,600円(税込)で、70%以上の正答率獲得で合格です。在宅で受験する形になります。
なお、食育アドバイザーの試験はテキストを見ながら受験する形が認められており、丸暗記する必要はありません。
万が一不合格になった場合でも、いつでも何度でも再受験できるのが食育アドバイザー試験の特徴です。
70%以上の正答率にハードルの高さを感じてしまう人でも、テキストを見ながらでOK・再受験何度でもOKという条件がわかれば、安心して試験を受けられるのではないでしょうか。
資格を取るメリットとは?
一般的に、食育アドバイザーの資格は家庭での食事提供や料理教室の開業時に活用できます。
飲食や食品を取り扱う企業に就職したら、食育アドバイザーの資格を通じて学んだことを、新商品や新メニューの開発に応用することも可能です。
栄養士・管理栄養士の場合、保育園や幼稚園、小中学校などの教育施設はもちろん、介護などの福祉施設や医療機関など、給食提供が発生する職場で資格を活用できます。
食育のスキルを底上げする目的で食育アドバイザーを取得したい人は、より充実した食育指導や講義、献立作成などができるようになるでしょう。
食育アドバイザーは、食育に対する理解を深めたい栄養士・管理栄養士にとって役に立つ資格だと言えます。
編集者より
飽食や孤食、安くて美味しいかわりに添加物の入った食品の普及などにより、食育の役割はますます重要となっています。
栄養士・管理栄養士にとって、食育に関する知識は身につけておいて損はありません。
たとえば、食育分野に特化した栄養士・管理栄養士として講演を開いたり、料理教室を開いたりなど、独自の活動を副業や兼業といった形ですることも可能です。
仕事の幅が広がるだけでなく、キャリアそのものに役立つこと間違いなしでしょう。
食生活が乱れがちな現代人の健やかな心身をサポートするためにも、食育アドバイザーをはじめとした食育の勉強を専門的にしてみてはいかがでしょうか。
参考文献・サイト
- 通信教育のキャリアカレッジジャパン「食育アドバイザーとは」(2019年7月11日)
- 公益社団法人 日本栄養士会「「先生」と呼ばれるにふさわしい「食育のプロ」を育てる人材育成 」(2019年4月16日)
- 日本能力開発推進協会 (JADP)「食育アドバイザー資格」(2019年4月16日)
- 文部科学省×PRICELESS「食べるが価値。」(2020/05/26)
- 食育アドバイザーの資格が取れるおすすめ講座ガイド(2020/05/26)
- BrushUP学び「食育アドバイザーとは」(2019/06/25)
- BrushUP学び「話題の「食育」とは?食育はなぜ重要?」(2020//)
- 日本教育新聞「食育は幼児期に進めたい?食への知識を深めて命の大切さを知る教育」(2019/06/30)
- リズの資格生活「食育アドバイザーと食育インストラクターの違いは?4つの項目から比較」(2020//)
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