栄養士・管理栄養士のみなさんは、「全国栄養士大会」をご存じですか?
全国栄養士大会は、年に1度開催される、日本栄養士会主催の大会。全国から管理栄養士・栄養士が集まるビッグイベントです。
2018年は、7月28日(土)、29日(日)にパシフィコ横浜で開催されます。
平成29年度(2017年)に、8月4日を「栄養の日」、8月1日~7日を栄養週間と制定したのをきっかけに、今までの全国栄養士大会も大きくリニューアル!
29年度は「国民に寄り添う管理栄養士・栄養士の姿」をテーマに掲げ、全国栄養士大会だけでなく、国民10万人を対象に全国585か所、4005人の管理栄養士・栄養士が参加した「栄養ワンダー」というイベントも開催されました。
全国栄養士大会では、臨床栄養、福祉栄養、食育、スポーツ栄養など各活動分野を網羅する講演や事例の共有をはじめ、企業によるセミナーと展示ブースなど、すぐに使える最新情報が盛り沢山! 管理栄養士・栄養士ならぜひ参加してほしい、充実した内容となっています。
もし参加を迷っている方がいたら、絶対に行ってほしいです。私は昨年初めて参加して終わった瞬間から「来年度も絶対参加したい!」と思ったほどでした。
なぜこんなに私が大満足しているのか? なぜおすすめしたくなるのか?
その理由を今回は「現役管理栄養士の参加レポート」という形でお届けします。
「平成30年度全国栄養士大会」の情報はコチラから!
※平成30年度全国栄養士大会にも参加して来ました!そのレポートは以下のリンクから!!
目次
平成29年(2017年)度・全国栄養士大会の概要
平成29年度は8月6日(日)~7日(月)に神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で行われました。私は、仕事のお休みをいただいて2日間参加しました。(今年度は、土日開催なのでご心配なく)
当日は全国から管理栄養士・栄養士、養成校学生らが1,763人が集まり、いつもは施設で一人で仕事をしている私にとって、それはそれは嬉しい光景でした。
大会概要
会期 | 平成29年8月6日(日)、7日(月) |
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会場 | パシフィコ横浜 |
主な大会内容【1日目】 | 講演、ランチョンセミナー、企業による展示ブース |
主な大会内容【2日目】 | 第1回栄養の日記念式典、全国栄養改善大会(鼎談、座談会)、教育講演、学生向けシンポジウム、ランチョンセミナー、企業による展示ブース |
託児所 | 両日とも8:00~18:00 | クローク(無料) | 【1日目】9:30~17:30/【2日目】9:00~17:30 |
プログラムと内容
私の場合、臨床栄養や福祉栄養、地域包括ケアが仕事に直結する分野なのですが、それ以外でも聴講したい講演がいくつもあり、とても悩みました。
お弁当を食べながら参加する協賛企業主催の「ランチョンセミナー」もあり、これは事前申し込みの予約制となっています。
プログラム内容は、日本栄養士会「平成29年度全国栄養士大会」のページに掲載しています。
人気の講演は早めに会場へ
席数には限りがあるため、開場する前に待機し、列に並んでおいた方がいいです。実際、人気の講演はすごい列でした。
会場の大きさは様々なのですが、だいたい入場することはできます。ただ、立ち見になってしまうこともあるので、絶対聴講したい講演があれば早めに会場へ向かうことをおすすめします。講演によっては別会場で中継があるものもあります。
大人気のランチョンセミナーは予約必須!
これがとても人気でした。なぜなら追加料金なしでお弁当をいただきながらセミナーを受けられるからです。お弁当の中身も色々なおかずが入っていて、管理栄養士が好きそうなメニューだったように思えます。企業の方によるお話で、セミナーによっては内容に関連する試食もいただけます。
ランチョンセミナーに参加する方は以下のポイントを確認しておきましょう。
①事前申し込みによる予約制
②当日は整理券を受け取る
③引き換えは11:30まで (今年度の時間は要チェックです!)
④セミナー開始後、残席がある場合は入場可能
当日スケジュールと参加者必見のアドバイス
初めて全国栄養士大会に参加した私のスケジュールをご紹介します。体験談とアドバイスもありますので、ぜひ参考にしてほしいです。
1日目は初めての大会参加にわくわく
▼まずは、会場受付&大会スケジュールチェック
参加費の入金完了通知の控えと日本栄養士会の会員証を準備して受付へ。大会プログラムの冊子と名札をもらいます。名札には所属(施設名や病院名)と名前を書きます。書いていない方もいましたが、なるべく書いた方が良いと思います。
所属が同じ分野であれば話しかけやすく、お互いに情報交換ができるからです。特に普段から施設などで1人で働く管理栄養士にとって、こういう場は大事な情報交換の場であると私は考えています。
少し余談ではありますが、学生時代に実習でお世話になった保健所の管理栄養士さんに気が付くことができたのも、この名札のおかげです。
大会スケジュールはこの段階でチェック。大会プログラムの冊子には各講演要旨も載っているのでそれを読み、聴講したいプログラムに丸印をつけ、時間を確認。この時間帯空いているからお昼を食べて、企業のブースはこの辺で行こうかな……と、だいたいのスケジュールを立てます。
▼クローク活用のすすめ
宿泊の荷物があったのでクロークを利用しました。10:00前くらいに行ったのですが、クロークのスペースにはまだ余裕がありそうでした。
講演の資料や企業のサンプリングをもらうと手荷物が増えるので、大きな荷物はクロークに預けていると楽です。大会を堪能しようとすると長時間滞在となるので、なるべく身軽でいることが望ましいですね。
おすすめスタイルは「両手が空くカバン」と、「エコバッグ」。エコバッグは講演資料やサンプリングを入れることができるので便利です。
クロークは出し入れ自由です。しかし、スタッフによる荷物の引き渡しはなく、スペースの提供のみとなっているので、貴重品は必ず持ち歩きます。また、傘を預けることはできないので、当日雨が降っていたら折り畳み傘を使用したほうが困らないかもしれません。
クロークのスペースには限りがあるので、宿泊先に預けておいたり、事前に近隣のロッカーをチェックしておくといいかもしれません。ちなみに、会場には有料コインロッカーもあります。
▼あれ、席がない? 中継による聴講でスタート
臨床栄養分野「地域における食支援ーなにをどう食べるかを地域で共有するためにー」の会場に向かうと、すでに大勢の人が……。会場で聴講するとなると立ち見になってしまうということだったので、別会場でその中継を見ることにしました。
講演の中継なんて、初めて経験しました。映像や音声等に問題はなかったので中継でももちろん満足できるものでした。ただ、質疑応答の時間に質問はできません。
この最初のプログラムで席確保が意外と難しいことを知ったので、早めに会場に向かおうと思いました。
▼おいしいたのしいランチョンセミナー
全国栄養士大会に一緒に行った友人がランチョンセミナーに参加するということだったので私も参加することにしました。しかし、私は事前予約をしていなかったので、少しドキドキしながら残席待ちの列に並びました。幸運なことに残席があったため、無事にお弁当もゲットし、「野菜飲料の上手な活用方法」についてお話しを聞くことができました。
お弁当を食べながらお話しを聞くランチョンセミナーに参加することは初めてでしたが、食事をしながら有益な情報も手に入るとはなんて効率がいいのだろうと思いました。このセミナーでは野菜ジュースを使用したスイーツも配られました。
ランチョンセミナーは企業が主催なので、その企業の商品の最新情報や研究結果、アレンジレシピなどが知ることができて面白いです。
また、わざわざ外に出て店でごはんを食べたり、飲食スペースを探したりする手間がないので、時間も有効活用できますし、お弁当もおいしいし、飲み物も付くし、良いことだらけです。参加倍率が高くなるので本当は言いたくないですが、ここだけの話、ランチョンセミナーはかなりおすすめです!
※平成30年度のランチョンセミナーの予約状況はコチラから確認できます。
▼午後は2つの講演に参加
「食を楽しむ。おいしく食べる。~シニアの食事摂取を考える~」と「経口移行、維持を円滑に進めるためには~在宅医療で求められる食事とは~」に参加。どちらも人気のようで、人がたくさんいました。
講演ごとに会場が変わるのもちろんなのですが、椅子も2種類ほどありまして。小さな机が付属している椅子に座ることができたら、講演中にメモを取るのは容易です。しかし、そうでない机の場合は、不安定なところでメモを取ることになるので、バインダーか表紙と背表紙がしっかりしているものだと楽です。
▼展示ブースでお土産いろいろ
空いた時間は企業さんの展示ブースへ。新商品を知ることはもちろん、すでに使っている商品のことも企業さんから直接話を聞くことができます。
サンプルや試食もあるので、面白いです。私は職場で使っているVitamixのブレンダーに夢中でした。食材や栄養補助食品を納品してくれる企業さんは納品や営業の際にお話しできるのですが、調理器具の企業さんとはなかなか話す機会もないので、とても貴重な時間だったなと思います。
栄養関連本も販売していました。普段購入したいときは大きな書店に行かなければなかったり、中身が確認できずに取り寄せたりネットで買ったりするしかないので、こういうのはとてもありがたいですね。
▼1日目終了!晩御飯と宿泊施設
1日目のプログラムが終了し、遠方から来ていた友人と宿泊施設へ。パシフィコ横浜のすぐ近くにある「横浜みなとみらい万葉倶楽部」を利用しました。会場からとても近いのと、前から使ってみたかったからです。
みなとみらいには宿泊施設がたくさんあるので迷うかもしれませんが、やはり会場から近いのはいいですね。クイーンズスクエアやランドマークタワー、赤レンガ倉庫も近いので晩御飯も困りません。
もし、少し観光したいのであれば、横浜中華街が近い関内あたりもおすすめ。少し歩きますが、横浜中華街からパシフィコ横浜は徒歩圏内だと思います。「せっかく横浜に来たのなら観光も楽しんでもらいたい!」そう思ってしまうのは私が横浜出身だからなのかもしれません。
2日目も充実の内容!
▼2日目スタート
朝はゆっくりみなとみらいを散歩して、11:30の鼎談から参加しました。荷物は前日同様、クロークに預けました。鼎談の会場はメインホールだったので、1日目の講演会場よりは広かったです。満席だったという印象はありませんでした。
テーマは「科学的根拠に基づく管理栄養士・栄養士の活動」。
巷に広がっている膨大な健康情報は、時には偏っていることもしばしば。その中で、科学的根拠に基づく情報を私たち管理栄養士・栄養士が国民に発信していくことがどれほど重要なことか。また、専門職であるがゆえに管理栄養士・栄養士が発信する情報には説得力があるので、科学的根拠を確認したうえで責任をもって情報を発信しなければならないと強く思いました。
▼2回目のランチョンセミナー
前日同様、また残席待ちの列に並びました。早めに並んでいたので無事にお弁当とお茶を手に入れ、ランチョンセミナーを受けることができました。結構な列だったので、もしかしたら入れなかった人もいたかもしれません。お弁当は中華風でした。ヤクルトさんによるセミナーのテーマは「発酵乳製品継続摂取による高齢者福祉施設入居者の排便状況の改善と発熱日数」。
高齢者の排便の問題にちょうど直面していたので、このような研究結果はとても参考になりました。発酵乳製品を知り尽くしてる企業さんのお話を、最新情報をこうやって生で聞けるのは貴重なことです。
▼ランチョンセミナーに注意点あり!
今回の栄養士大会で初めてランチョンセミナーを受けて、私が思ったこのセミナーの良い点は時間を有効に活用できるところでした。自分で昼食を用意したり、お店を探したりする手間を省略できます。そのうえ無料。時間とお金の両面をお得に済ませることができます。お弁当もおいしかったです。
一方で、あまり良くない点はメモを取ることが難しいところ。座席によっては小さい机がついていない椅子で、膝の上で食べなければいせません。また小さい机がついていても、お弁当を落とさないように気を付ける必要があります。そうするとメモを取るのはなかなか大変でした。
また、私は食べるのがもともと早くないのですが、食事をしながらセミナーを聞き、メモを取っていると食べるスピードがさらに遅くなり、気が付いたらセミナー終盤で、慌てて食べることもありました。会場に残ってゆっくり食べられたらいいのですが、次の講演があるのでそうもいかず。もし私と同じように食べるのが早くない人は少し気を付けたほうがいいかもしれませんね。
▼座談会「低栄養」に参加
2人の先生がそれぞれ「若い女性の栄養と次世代の健康」と「高齢期の栄養と健康ー科学的視点からー」というテーマで話されていました。
職場が高齢者施設なので高齢者の低栄養は身近な問題でしたが、若い女性の低栄養問題は詳しく知らなかったため大変興味深かったです。栄養不足による低栄養問題が提起されている一方で、栄養過多による生活習慣病の問題もあることを再認識しました。
相反するこれらの問題に、管理栄養士が深く関わっていかなければならないのだと思うと同時に、管理栄養士にしかできないことなのだと思いました。少し大袈裟に言うと、管理栄養士の使命というものを改めて確認できた時間でした。
▼わかってるつもりを再確認
教育講演「水野裕子と学ぶ個人情報管理と職業倫理」に参加しました。個人情報管理と職業倫理は大切で基本的なことではありますが、管理栄養士として働いていたら、それぞれ自分が専門としている高齢者栄養や臨床栄養、食育のことばかり勉強してしまい、なかなか自ら学ぼうとはならないと私は思っていたので、これはそれらを知ることができる絶好の機会でした。
案の定、講演の中に出てきた「管理栄養士・栄養士倫理綱領」はほぼ初見でした。管理栄養士・栄養士として働いていれば、職業倫理から大きく逸脱することはないですが、やはりこの倫理綱領を認識するかしないかは、日々の仕事の質に影響してくると思いました。なので私はこの倫理要綱をコピーして、職場のデスクマットの端っこに挟んでいます。
▼初参加の全国栄養士大会終了
初参加にしてはなかなか良いスケジューリングだったと思います。おそらく、土地勘もあり、こういうスタイルの講演会には慣れていたからかもしれません。
しかし、ランチョンセミナーについては事前に予約しておいたほうがスムーズだったなと思いました。何事も、事前に調べておくことは大切です。
大会が終わった直後、私が一番に思ったことは「面白かった!大満足!」ということ。他の人にすすめたくて仕方ありませんでした。「なぜそんなにすすめたくなるのか?」その主な理由は3つあります!
栄養士なら参加してほしい3つの理由
①栄養士がたくさん集まる
前述しましたが、当日は全国から管理栄養士・栄養士、養成校学生らが1,763人が集まりました。普段参加するようなセミナーや研修会でこんなにもたくさんの管理栄養士・栄養士が集まることはありません。
私の職場では、管理栄養士は私だけで厨房にも栄養士がいないので、多くの管理栄養士がいる空間の中にいると「一人じゃないんだよ」と言われているような気がしました。みんな同じような志を持っているのかなと思ったら、なんだか感動してしまいました。
たくさん集まるということは、それだけ出会いも増えるということです。職場では一人職種であることも多い栄養士・管理栄養士にとって、このような場は情報交換ができる絶好のチャンス。名札には職場名も書いてあるので、同じような施設で働いている人がいたら声をかけてみてもいいでしょう。
一人で職場にいたらなかなか解決が難しい悩みを共有してみると、答えも見つかるかもしれません。また、全国から来ているので、献立や行事食の話をしたらその地域の特色なども垣間見れるかもしれないです。
私は、近くに座った人と積極的に情報交換を行いました。今年度の大会でももちろんそうするつもりですが、次は施設見学の約束までできたらいいなと考えています。施設見学ってするのもされるのも、とても勉強になるのです。
管理栄養士・栄養士って名刺を持ち歩くことってあまりないかもしれないですが、参加される方はぜひ名刺を持っていくことをオススメします。
②栄養の最新情報とプラスαを得ることができる
みなさんはいつも、どのようにして新しい栄養の情報を得ていますか?本、雑誌、テレビなどのメディアから得ることが多いと思います。これらのメディアは一方通行で、こちらは受け取ることしかできません。
しかし、この全国栄養士大会はそうではありません。講演なら質疑応答の時間があり、企業の展示ブースに行けば一対一で話すことができます。
つまり、こちらから+αの情報を引き出す機会があるのです。しかも、その分野の専門家に聞けるわけですから、その内容が濃いというのは言うまでもありません。
③プログラムの充実度が高い
さらに全国栄養士大会が他と違うのは、豊富で豪華なプログラムのラインナップにあります。
演者の方々は、有名な方だったり、学生時代に使用していた教科書の著者であったりと、豪華な面々が登壇・講演し、会期中「体が2つあればいいのに!」と何度思ったかわかりません。
プログラムの充実度が高いのは、主催が日本栄養士会だからこそなのかもしれません。
今からでも遅くない!7月末の予定を確認してみよう
今年度の全国栄養士大会は2018年7月28日(土)、29日(日)です。
ご自分の予定はどうですか?もし空いていたら、ぜひ参加してみてください。参加費15,000円(日本栄養士会会員で当日参加の場合)は、やや高いと思うかもしれませんが、2日間と考えたらそんなに高くはない気もしませんか? きっと、あなたの年間スケジュールのレギュラーイベントとなる可能性は高いと思います!
この全国栄養士大会はまさに管理栄養士・栄養士のための2日間です。でも、ただ知識を得るだけのイベントではありません。管理栄養士・栄養士としての自分を顧みたり、今後の成長への糧になったり、ご縁を作ったり。久しぶりに栄養士仲間に会うきっかけにするのもいいかもしれません。仲間を誘って参加して、栄養士大会がおわったらその仲間と、栄養士同士だからできる話をしてもいいですね。
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