キャリアアップ・資格

8つの分野で活躍する認定栄養士・認定管理栄養士制度を全解説!申請や試験もこれでわかる

認定栄養士 認定管理栄養士 とは

栄養士・管理栄養士の資格を取得した人なら、「認定栄養士・認定管理栄養士」という資格の名前を聞いたことがあるかもしれません。

認定栄養士・認定管理栄養士は、専門的な知識と経験を備えた栄養士・管理栄養士であることを示す資格とされています。

しかし、実際にどのような分野があるのか、また資格が栄養士・管理栄養士としてのキャリアアップにどうつながるのかいまいちピンと来ていない人も多いのではないでしょうか。

そこで、今回は認定栄養士・認定管理栄養士の資格取得方法や申請書類、認定試験、そして資格取得に必要な生涯教育制度の重要性などを解説していきます。

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認定栄養士・認定管理栄養士とはどんな資格?

認定栄養士・認定管理栄養士は、特定の8つの分野から各分野の専門知識や技術を備えた栄養士・管理栄養士に付与される資格です。

特定分野に関する知識や技術を体得した栄養士・管理栄養士は、その技能を国民に広く伝える役割を担います。

何らかの分野に特化した技能を得ることは、栄養士・管理栄養士のキャリアアップにもつながるため、知識を増やし、自分の強みを持ちたい人にはオススメの資格です。

資格の認定元は「公益社団法人日本栄養士会」となっています。

申請資格はすべて満たす必要アリ

認定栄養士・認定管理栄養士の認定を受けるには、申請審査の条件をすべて満たす必要があります。

①日本の栄養士・管理栄養士の資格を取得している

②栄養士・管理栄養士の実務経験が5年以上ある

③日本栄養士会が定めた「基幹教育(「栄養の指導」に必要なスキルを学ぶ研修)」を60単位以上取得している
・基本研修を30単位以上(必須20単位も込み)
・実務研修を30単位以上(臨床栄養は40単位以上が条件)

④研修や日々の業務にもとづいたキャリアシートを1年のうちに5テーマ以上作成している(5年分必要)

⑤認定を希望する分野の「栄養の指導」にひもづく学会などで1回以上発表をしており、3回以上学会などに参加している

認定栄養士・認定管理栄養士が活躍できる8分野

認定栄養士・認定管理栄養士の資格が認定される特定の分野は以下のとおりです。

①臨床栄養
②学校栄養
③健康/スポーツ栄養
④給食管理
⑤公衆栄養
⑥地域栄養
⑦福祉栄養(高齢者・障がい者)
⑧福祉栄養(児童)

◆参考:公益社団法人 日本栄養士会「現場のジェネラリストを目指す方へ」

認定栄養士・認定管理栄養士資格取得の流れ

認定栄養士・認定管理栄養士の資格を取得するには、書類審査の申請と認定試験の受験が必要です。

資格取得に欠かせない!基幹教育の受講と自己研鑽

書類審査に必要な申請書類をそろえるには、生涯教育制度の基幹教育を受け、「自己研鑽」を積む必要があります。

自己研鑽とは、申請資格のひとつである「認定を希望する分野の『栄養の指導』にひもづく学会などで1回以上発表をしており、3回以上学会などに参加している」こと。

基幹教育と自己研鑽をクリアしたら、認定審査の申し込みが可能です。

申請書類を提出し、書類審査を受けたら一次審査(筆記試験)、二次審査(事例報告の考査)を受験し、合格すれば資格取得になります。

なお、認定栄養士・認定管理栄養士の認定期間は5年間。
更新を希望する人は、必要書類と更新料を提出しましょう。

申請書類は10種類用意するべし!

書類審査に必要な申請書類は10種類です。

日本栄養士会の会員は自動的に都道府県栄養士会にも所属するため、まずは都道府県栄養士会に書類を提出します。

その後、日本栄養士会が審査資格の確認を行います。

(1)申請書類チェックリスト
(2)管理栄養士または栄養士免許書のコピー
(3)「認定管理栄養士・認定栄養士」審査申請書
(4)設定を申請する分野の生涯教育到達目標シート
(5)キャリアシート
(6)基幹教育(60単位以上、臨床栄養は70単位)単位取得の記録
(7)認定を申請する分野の「栄養の指導」に関するテーマの事例報告(各分野指定の数)※認定栄養士として申請する方は事例報告の提出は必要ありません。
(8)認定を申請する分野の「栄養の指導」に関する学会発表の記録(抄録・講演要旨のコピー)
(9)参加した学会の参加証の原本
(10)返信用のレターパックプラス2枚
◆引用:公益社団法人 日本栄養士会「認定管理栄養士並びに認定栄養士の認定にかかる審査の実施要綱 」

栄養士のみを取得している人は認定栄養士になり、管理栄養士を取得している人は認定管理栄養士となるところが注意点です。

また、(5)のキャリアシートは平成26年度からの記録をつけます。1年に5テーマ以上、合計25テーマ以上の提出が義務づけられています。

(6)基幹教育の記録については、日本栄養士会会員は「会員専用ページ」から単位取得の状況などを確認できます。

単位取得の状況を確認する手順はこちらのページに記載されています。
◆参考:公益社団法人 日本栄養士会「認定栄養認定管理栄養士並びに認定栄養士の認定にかかる審査の実施要綱」

(7)の注意書きにあるように、「認定栄養士」を申請する場合は事例報告は不要です。
ただし、管理栄養士の資格取得後に「栄養の指導」の事例報告を行い、審査が通れば「認定管理栄養士」の資格が取得できます。

審査料は21,600円(税込)です。
日本栄養士会の会員以外の人も認定資格の取得は可能ですが、その場合審査料は54,000円(税込)かかります。

キャリアシートの参考例を確認したい人はこちらのページに掲載されているため、確認してみてください。
◆参考:公益社団法人 日本栄養士会「認定栄養認定管理栄養士並びに認定栄養士の認定にかかる審査の実施要綱」

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認定試験には2つの関門がある!

書類審査に通過した人には、認定試験の一次審査(筆記試験)と二次審査(事例報告の考査)の案内状である「受験票」が郵送されてきます。

受験票は一次審査(筆記試験)受験時に身分証明書として必要になるため、必ず保管しておきましょう。

一次審査(筆記試験)の概要

一次審査(筆記)の試験日は2019年の場合、8月25日(日)です。

試験会場は、
・北海道
・東京
・大阪
・福岡
の4つから選ぶことができます。

試験時間は100分。
四肢択一式のマークシート形式となっています。

出題科目は「基本研修(20問)」と「認定分野(30問)」のふたつ。

栄養士・管理栄養士のミニマムスタンダードのほか、各分野の到達目標を充分に実践できる量の知識と技術が問われます。

試験当日に必要な持ち物は、
・受験票
・本人確認書類
・筆記用具
の3つです。

合否結果は9月下旬に郵送で送られてきます。
一次審査に不合格した人には、提出した申請書類が返却されてきます。

二次審査(事例報告)の概要

二次審査に必要な事例報告は、各分野につき提出枚数が指定されています。

提出した事例報告をもとに事例考査委員が内容を審査し、1月末までには合否結果が分かる流れです。

事例報告の参考例は以下のページに載っているため、参考にしてみてください。
◆参考:公益社団法人 日本栄養士会「認定栄養認定管理栄養士並びに認定栄養士の認定にかかる審査の実施要綱」

二次審査(事例報告の考査)に不合格してしまった人は、翌年に限り一次審査(筆記試験)が免除となり、事例報告のみの提出で再審査を受けられます。

ただし、再審査量として10,800円(税込)が発生します。
日本栄養士会会員以外の人の場合、再審査料は27,000円です。

くわしい再審査の流れは、合否結果の通知時に確認できます。

認定栄養士・認定管理栄養士の取得に生涯教育制度が必要なワケ

認定栄養士・認定管理栄養士を取得するには、日本栄養士会が主催する「生涯教育制度」という教育プログラムを受ける必要があります。

生涯教育制度は、国民の健康維持に役立つ技能を栄養士・管理栄養士が習得するための制度。

科学の進歩や社会の変化に対応できる力を維持し、職能を発展・向上させるためには栄養士・管理栄養士のスキルアップが重要です。

その実現に向け、日本栄養士会は栄養士・管理栄養士が生涯教育を受けることを推奨しています。

認定栄養士・認定管理栄養士が受ける生涯教育制度の内容

認定栄養士・認定管理栄養士の資格を取るには、生涯教育制度のなかの「基幹教育」を受けることが条件です。

「基幹教育」には「基本研修」と「実務研修」のふたつがあり、各分野に不可欠なスキルを会得することで、特定の8分野に関する栄養指導を行えることを目指します。

基本研修では栄養士・管理栄養士のミニマムスタンダードを、実務研修では専門分野の知識や技術と実践力を学びます。

生涯教育制度には「自己研鑽」という項目も含まれており、学術論文や学会における発表、シンポジウムへの登壇や参加などが該当します。

認定栄養士・認定管理栄養士を取得するには自己研鑽の実施も必須です。

図にまとめると以下の形になります。

認定管理栄養士 取得の流れ

◆参考:公益社団法人 日本栄養士会「現場のジェネラリストを目指す方へ」

単位の移行措置ができる!?3つの条件のどれかに当てはまれば申請可能

ところで、過去に受講した「生涯学習」の単位を取得したり、実務経験の要件を満たしたりしている人には「移行措置」が適用されます。

ただし、移行措置が適用になるのは日本栄養士会に所属している人のみです。

移行措置を使えば、過去取得した生涯学習の単位を生涯教育の単位に換算し、認定申請を行うことが可能です。

生涯学習から生涯教育への単位移行措置を受けられる人の条件は、以下の3つとなっています。

①2009年度~2013年度に実施した生涯学習の修了証明書を持っている会員(震災県の人は2008年度以降)

②生涯学習の単位は取得しているものの修了証明書を持っていない会員

③実務経験15年以上で、2009年度から2013年度までの生涯学習単位を持っていない会員(震災県の人は2008年度以降

それぞれの資格取得にかかる申請資格はこちらから確認できます。

◆参考:「現場のジェネラリストを目指す方へ」公益社団法人 日本栄養士会
公益社団法人 日本栄養士会「認定管理栄養士並びに認定栄養士の認定にかかる審査の実施要綱」

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まとめ

認定栄養士・認定管理栄養士の資格は、キャリアアップの礎になります。

生涯教育制度の基幹教育を受け、自己研鑽を積んだ経験があれば、さらにその先にある「専門管理栄養士」を目指してより高度な専門性を身に着けたり、ほかの栄養士・管理栄養士を指導する「マネジメントリーダー」としてステップアップすることも可能です。

生涯教育を受けていれば、特定の領域におけるスペシャリスト「特定分野管理栄栄養士」を目指す道を拓くこともできます。

認定栄養士・認定管理栄養士の資格や勉強してきた経験を活かして、自分なりのキャリアを築いてみてくださいね。

参考文献・サイト

  • 公益社団法人 大阪府栄養士会「新しい生涯教育(認定管理栄養士・認定栄養士)制度が始まって一年が経過しました。」
  • 公益社団法人 日本栄養士会「現場のジェネラリストを目指す方へ」
  • 公益社団法人 日本栄養士会「認定管理栄養士並びに認定栄養士の認定にかかる審査の実施要綱 」
  • 公益社団法人 日本栄養士会「キャリアアップのための生涯教育制度」
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