栄養士の職種・職場

産婦人科で働く栄養士・管理栄養士のお仕事とは?

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栄養士や管理栄養士が活躍する職場として病院をイメージする方は多いと思いますが、病院の中でも、大きく分けてふたつの選択肢があるのはご存知ですか?

一般的に栄養士・管理栄養士が病院で働くというと、配属先は内科で、疾病治療や予防に特化した役割を求められる……と思っている方がほとんどです。
しかし、「病院で働く」=内科系だけではありません。
産婦人科も、栄養士が活躍できる分野のひとつです。

栄養士・管理栄養士は、産婦人科でどのように力を発揮できるのでしょうか。
くわしい仕事内容や待遇、必要なスキル、やりがいなどを解説します。

産婦人科で働く栄養士、管理栄養士の役割とは?

産婦人科で働く栄養士・管理栄養士には、出産前や出産直後、妊娠期特有の病気を抱えた女性の栄養状態をケアする役割があるといえるでしょう。

医療の現場で働く栄養士・管理栄養士は多いですが、なかでも産婦人科の現場は少し特殊かもしれません。
産婦人科に入院する患者さんは分娩あるいは切迫早産を控えている妊婦さんが中心で、必ずしも全員が「病人」というわけではない(※)点がポイントです。
(※)中には妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群など、妊娠期特有の疾病を治療するために入院している患者さんもいます。
さまざまな状態の患者さんを対象とすることを覚えておきましょう。

主な仕事の内容

産婦人科での栄養士・管理栄養士の主な仕事内容には、妊婦さんに対する「栄養指導」「献立作成と調理」が挙げられます。
特に栄養指導は、母親教室などで不特定多数の妊婦を対象とする場合と、来院患者に向けた個別指導の2パターンがあります。

母親教室

母親教室では、主に以下の内容について指導を行います。

妊娠中の体重管理について

体重管理の必要性から栄養の摂取量が胎児にもたらす影響などを説明した上で、妊婦が抱えがちなむくみや体重増加、つわりなどの体トラブル改善のための適切な栄養指導を行います。

妊娠中から産後、育児期の栄養指導

妊娠中に起こりがちな体トラブルそのものの解説をしたり、適切な栄養摂取量や健康的な食生活の知識を教えたりします。
妊娠中だけでなく、出産直後や育児期における子供や母親の栄養摂取についての指導を行うことも。

妊娠中のリスクについての正しい知識と指導

妊娠中の過体重、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、多胎妊娠など……妊娠中に生じるリスクに対しての対処法や、そういった状態で栄養管理を行うことの重要性、体重管理の具体的な方法を指導します。

個別指導

外来や入院中の患者さん一人ひとりの体調に合わせた栄養指導を行います。
たとえば体重管理やむくみなどに悩んでいる外来患者には、食事リストを洗い出してもらったり、生活習慣をヒアリングしたりして、食事の改善点やオススメのレシピを提案します。

出産を控えて入院している患者さんには、献立作成から調理、配膳までを担います。
栄養バランスの整った食事やおやつを提供しますが、あくまで「病人食」ではない点がポイント。
患者さん一人ひとりの体質や妊娠中の体調変化に配慮した献立を作るのはもちろんのこと、ヘルシーでおいしい食事を作ることが基本です。

その他、栄養指導に関わる業務として「栄養管理計画書」の作成や各種資料作成、検食を行うこともあります。

栄養士が産婦人科で働くやりがい

栄養士・管理栄養士が産婦人科で感じられるやりがいには、「自らが院内で前例を作っていける」自由度の高さを挙げられるでしょう。

専門性のある認定資格を持つ管理栄養士と違って、産婦人科で働く栄養士・管理栄養士には、学会や研究会といった情報・ノウハウ共有の場があまりありません。
専門分野に関するコミュニティも少ないため、参考となる前例も探しにくいのが現状です。
だからこそやりたいことに挑戦できたり、新しく学んだことを業務に活かしたりと、自分で積極的に仕事を動かせるケースが多いと言えます。

患者さんに喜んでもらうためのアイディアを業務に反映し、創意工夫できる仕事がしたい栄養士・管理栄養士は、やりがいを感じられるでしょう。

産婦人科で働く栄養士の給与・待遇

産婦人科で働く場合、正社員・契約社員・パート(アルバイト)から雇用形態を選べます。病院や雇用形態によって給与や待遇は異なりますが、以下に参考例を紹介しましょう。

正社員

月給は18万円~30万円前後が目安です。職場によっては賞与や昇給、退職金の制度もあります。
役職手当、職務手当、住宅手当など各種手当が交付される場合もあるため、手当の条件が気になる人は確認するとよいでしょう。

勤務形態はシフト制を採用しているところが多いですが、看護師とは異なり、栄養士・管理栄養士には基本的に夜勤がないようです。
社会保険完備、交通費支給の待遇も受けられます。中には食事補助や研修制度を設けている病院もあるようです。

契約社員

時給換算の求人もあれば、月給換算の求人も見受けられます。
年収換算で260万~320万円前後を目安にするとよいでしょう。
賞与や昇給制度のほか、早出や遅番手当、年末年始手当が支給される求人もあるようです。

正社員同様に、契約社員もシフト制の職場が多いです。
また、契約社員も社会保険完備の待遇を受けられたり、交通費が支給されたりするところがほとんど。
食事補助や制服貸与、研修の受講制度が整っている職場もあります。

パート(アルバイト)

フルタイムの募集もあれば、4時間程度の勤務から募集をしているところもあります。
時給は900円~1200円前後の求人があり、月給にすると15万円~20万円前後となるようです。
職場によってはパート(アルバイト)でも賞与や昇給制度、退職金制度を受けられたり、資格手当を設けていたりする場合も。

パート(アルバイト)もシフト制の勤務形態が一般的。早出出勤が定められているところもあります。
社会保険は完備のところもあれば、就業時間や雇用条件によって加入できる保険が変動するところもあるようです。
託児所が整備されている職場もあり、院内行事に参加できるなど、産婦人科ならではの待遇を受けられる求人もありました。

※上記の情報は2020年6月時点での掲載情報より作成しており、就職・転職での条件を保障するものではありません。ご了承ください。

産婦人科で働くメリット

女性にとって重要なライフステージである「妊娠」や「出産」。
そのサポートを行いながら、女性特有の疾病に関する専門性を高められるのが、産婦人科勤務ならではの魅力です。

栄養士・管理栄養士が産婦人科で働くメリットはどのような点にあるのか、具体的に見てみましょう。

やりがいを感じやすい

産婦人科で働く栄養士や管理栄養士は、一般的にやりがいを感じやすい方が多くみられます。
「妊娠・出産」という大切なライフステージの期間をサポートすることで、患者さんと患者さんのまだ見ぬお子さんの人生に大きく関われる……そういった責任や使命を、仕事の中で常に感じられるためでしょう。
対象となる患者さんと直接関わりあえるのは大きいですね。

求人が探しやすい

少子高齢化といえ、産婦人科がなくなるということはありません。
希少な職場ではないため、産婦人科は選択肢を狭めなければ探しやすい求人と言えます。

産婦人科で働くとき、注意すること

一方、働く上で注意しなければいけないポイントもあります。

まず、産婦人科で入院がある病院では早番・遅番といった勤務体制があること。
今までとは違った生活リズムでの勤務になる可能性もあるため、事前に確認しておきましょう。

また、産婦人科には妊婦特有の病気や多胎妊娠など、通常妊娠よりも高いリスクを負っている妊婦さんもいらっしゃいます。
これによって、時として患者さんが命を落としてしまうことも。関わる以上は、つらい経験をする可能性を考えておかなくてはいけません。
妊娠・出産に真剣に向き合った上で、勤務先を決めましょう。

産婦人科で働くにはどんなスキルが必要?

産婦人科における主な仕事は、妊娠中や出産直後であったり、妊娠期特有の疾病を抱えていたりする患者さんに、一人ひとりに合った献立を調理・提供することです。
したがって、女性の身体の仕組みや、妊娠中・出産直後の女性の身体に起こるさまざまな変化に関する知識が必要です。

また、妊娠・出産前後は心の変化も起きやすいもの。
妊婦さんのメンタルをケアできる知識も勉強しておくと、献立づくりや患者さんとのコミュニケーションに活きるかもしれません。

近年は献立の内容に本格フレンチやイタリアンを盛り込んだり、サプライズパーティーを開いたり、行事ごとの料理を提供したり、特徴のある食事を提供する産婦人科もあります。
こうした料理の提供には、入院中の患者さんの不安や緊張をケアしたい狙いがあるのでしょう。
産婦人科で働く栄養士・管理栄養士には、患者さんの心に寄り添った献立を考えるスキルも大切です。

編集者より

総合病院や福祉施設などに比べれば、栄養士・管理栄養士の職場に「産婦人科」という選択肢があることはまだまだ知られていないかもしれません。
しかし今後は、退院後の母子が健康的な栄養状態を維持し、日常的な栄養管理ができるよう、産婦人科と行政が連携して地域の健康を守る仕組みが生まれる可能性があります。

そのためには、地域における母子の栄養状態に関する現状把握や栄養管理の技能向上、勉強会の実施など、栄養士・管理栄養士としての研鑽を積むことがカギになるでしょう。

こうした仕組みや知識共有の場が全国に整備されるようになれば、産婦人科で働く栄養士・管理栄養士が増え、その役割が今以上に重要になります。
また産婦人科勤務ならではの知識を活かした活躍の場も広がるかもしれません。

今後の動きが注目される産婦人科。
業界の発展に尽力できる職場として、就職・転職を検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献・サイト

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