キャリアアップ・資格

給食提供者にオススメ!食物アレルギー栄養士・管理栄養士の知識でアレルギー発生を防止

食物アレルギー栄養士 管理栄養士 資格取得 給食管理分野

いまやアレルギー疾患は国民の2人に1人が抱えているといわれるほどに身近な疾患です。

2015年に「アレルギー疾患対策基本法」が施行されたことを受け、「公益社団法人 日本栄養士会」は「食物アレルギー栄養士・管理栄養士」を2018年に認定しました。

日本栄養士会とは、栄養士・管理栄養士のキャリアアップやスキルアップを支援し、さまざまな生涯教育の実施や専門誌の発行などを行っている団体のこと。

特定の分野の知識や技術に長けた栄養士・管理栄養士を育成する「特定分野管理栄養士」を認定する制度も設けており、食物アレルギー栄養士・管理栄養士は、この認定の一種です。

今回は、新しく認定された食物アレルギー栄養士・管理栄養士の概要や取得方法についてまとめます。

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食物アレルギーならお任せ!「食物アレルギー栄養士・管理栄養士」とは?

アレルギー

医療機関や保育園、学校、介護施設、研究施設などで不特定多数の人に食事を提供する機会のある栄養士・管理栄養士は、食物アレルギーに関わるリスクマネジメントを行う責務があります。

食物アレルギーは人によって症状やアレルギーの原因となる食物・原料が異なるため治療が難しいのが現状です。

そこで、栄養士・管理栄養士には食物アレルギーに対処する知識や技術を習得することが期待されています。

食物アレルギーに配慮した食事の提供や栄養教育の実施など、食物アレルギーの正しい知識や対処の技術が求められるさまざまな現場で活躍可能です。

とくに乳幼児期・学童期に当たる子どもは発症率が高いため、保育園や学校などで働く栄養士・管理栄養士には食物アレルギーに関する知識は必須といっても過言ではありません。

認定は「食物アレルギー栄養士(給食分野)」と「食物アレルギー管理栄養士」の2つ

食物アレルギー栄養士 管理栄養士

日本栄養士会による認定制度は、「食物アレルギー栄養士(給食管理分野)」「食物アレルギー管理栄養士」の2つに分かれています。

食物アレルギー栄養士(給食管理分野)

食物アレルギーに関する基礎知識を備え、安全面に配慮した食事や給食を提供できる栄養士・管理栄養士であることを証明します。
専門領域は給食管理です。

食物アレルギー管理栄養士

食物アレルギーの知識や対処方法を踏まえた生活指導ができ、医療や行政、学校などと地域連帯が実現できる管理栄養士に付与されます。

まずは「給食管理分野」の資格取得が必要

認定を取得するには申請資格をすべて満たす必要があり、「給食管理分野」を取得した後に食物アレルギー管理栄養士の資格を取得できる流れになっています。
「給食」という専門分野からさまざまな職場や環境で活躍することを想定しているようです。

食物アレルギー栄養士(給食管理分野)

・日本栄養士会の会員
・栄養士・管理栄養士としての実務経験3年以上
・認定に必要な研修の修了

食物アレルギー管理栄養士

・食物アレルギー栄養士(給食管理分野)の資格保有者
・管理栄養士の資格取得者
・認定に必要な研修の修了

更新する方法は?

食物アレルギー栄養士・管理栄養士は、認定から5年ごとに更新する必要があります。

更新に必要な条件は以下のとおりです。

・初回更新までの期間中に日本栄養士会による「生涯教育制度基本研修必須」を20単位分修了する

・5年間の更新待ち期間中に研修・講習会・学会への参加あるいは発表を行い、所定の単位数を修了する

なお、食物アレルギー管理栄養士を保有している人は食物アレルギー栄養士(給食管理分野)の更新は不要です。

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食物アレルギー栄養士・管理栄養士を取得する流れ

食物アレルギー栄養士 管理栄養士 資格取得方法 流れ

食物アレルギー栄養士・管理栄養士を取得する流れをおおまかに説明すると、2つとも共通して、
研修修了→課題提出→審査(試験など)合格
という形になっています。

注意点として、食物アレルギー管理栄養士は、食物アレルギー栄養士(給食管理分野)のステップアップとなる認定のため食物アレルギー栄養士(給食管理分野)の認定取得は必須です。

そこで、認定取得の全体の流れを確認してみましょう。

食物アレルギー栄養士 管理栄養士 資格取得

◆参考:公益社団法人 日本栄養士会「食物アレルギー管理栄養士・栄養士」

それぞれの認定制度の取得方法の詳細も解説します。

食物アレルギー栄養士(給食管理分野)

食物アレルギー栄養士(給食管理分野)を取得するには、はじめに「食物アレルギー基礎研修」を修了する必要があります。
受講そのものは、栄養士・管理栄養士以外の職種の人も可能です。

その後、給食管理に焦点を当てた「食物アレルギー栄養士(給食分野)認定研修」を受講します。

課題のレポートを3例提出し、認定試験(筆記試験)に合格すれば取得です。

なお、取得にかかる費用の内訳は以下のとおりです。

食物アレルギー基礎研修 受講料
日本栄養士会会員 20,000円/非会員 35,000円
食物アレルギー栄養士(給食管理分野)認定研修 受講料
日本栄養士会会員 10,000円/非会員 25,000円
認定試験(筆記試験)試験料:15,000円
認定料:10,000円

食物アレルギー管理栄養士

「食物アレルギー管理栄養士認定研修」では、栄養指導について学べます。

認定研修の修了後、課題を提出し、認定審査に通過すると取得という形です。

課題の内容は症例3つと活動報告2つの提出で、詳細は認定研修内で明かされます。

食物アレルギー管理栄養士の取得費用の内訳はこちら。

食物アレルギー管理栄養士認定研修 受講料:10,000円
認定料:10,000円

研修会ではどんなことを学ぶ?

食物アレルギー管理栄養士 研修会

食物アレルギー栄養士・管理栄養士になるには研修会の修了が必須ですが、どのようなことが学べるのでしょうか。

2018年度に開催された「食物アレルギー基礎研修」と「食物アレルギー栄養士(給食管理分野)認定研修」を例として紹介します。

食物アレルギー管理栄養士用の「食物アレルギー管理栄養士認定研修」は2019年度から開始されるため、まだ情報が公開されていません。

食物アレルギー基礎研修

食物アレルギー栄養士の認定に向けてのファーストステップは、食物アレルギー基礎研修の履修です。

ここでは、食物アレルギーに関する基礎知識として、食物アレルギーの病態や診断、薬物療法のことを学びます。

ほかにも食品表示や給食における食品選択、献立作成などの知識も身に着けていきます。
安全な調理に不可欠な知識や実践、リスクマネジメントの習得が、認定研修の受講につながるのです。

カリキュラムにはアレルギーの発症率が高いとされる「小児の発育・発達」や「食品表示法に基づく原材料表示やアレルゲン表示」、「栄養食事指導の原則」などが含まれています。

教材については、受講票の発送とともにに日本栄養士会から案内があります。

基礎研修の実施期間は2日間です。

食物アレルギー栄養士(給食管理分野)認定研修

こちらの研修に参加するには、食物アレルギー基礎研修を修了していることが条件です。

認定研修では、基礎研修で得た学びをさらに深めることが目的。

1日の研修で、栄養管理と安全に配慮した給食提供のための献立作成などを学びます。

「生活管理指導表(食物アレルギー)等の読み取り方」や「安全な給食提供を目的とした面接方法」などがカリキュラムの一例です。

教材として、厚生労働省のHPに掲載している「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2012年改訂版)」が使用されますが、こちらは参加者自身が印刷して持参する必要があります。

◆参考:厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」(2012年改訂版)【分割版】

食物アレルギー栄養士・管理栄養士の職場と仕事内容

食物アレルギー栄養士 仕事内容 職場

食物アレルギー栄養士・管理栄養士は、給食センターや保育園、学校、子育て支援センターなどで認定されたスキルを活かすことができます。

食物アレルギーの発症率は乳幼児期や学童期にあたる子どもに多いとされているため、食物アレルギー栄養士・管理栄養士は子どもと関わる職場でのニーズが高いかもしれません。

保育所・学校など給食を提供する機関でアドバイザーをしたり、保育士向けの食物アレルギーに関する講師をしたり、子どもの食物アレルギーに悩む保護者を対象とした講演を行ったりなど、認定を活用して多彩に活躍することも可能です。

また、食物アレルギーに配慮した食品開発に携わることもできるでしょう。

仕事に必要なスキルは?食物アレルギーに悩む人に支援の手を

食物アレルギーを抱える子どもやその保護者は、「みんなが美味しく食べているものが自分だけ食べられない」という悲しさや「子どもが口にする食材や原材料に人一倍配慮しなければならない」というプレッシャーを感じがちです。

食物アレルギー栄養士・管理栄養士には、こうした食物アレルギーによる困難やストレスを抱える人たちが安心して食事を食べられる調理方法を提案することが求められます。

代替食材を使ったり、アレルギー反応が起こる原材料を除いたりなど、食物アレルギーのある子どもでも、みんなと同じ給食が食べられる方法を考案するスキルも必要です。

とくに食物アレルギー管理栄養士は、医師との連携が重要です。

医師の診断や指示をもとに、食物アレルギー治療や栄養管理のための問題解決法や課題点、食品情報などを支援対象者にわかりやすく伝える役割があるからです。

摂取が望ましい栄養素が含まれる食材もアレルギーが原因で食べられない場合は、食物アレルギー管理栄養士が摂取指導をしたり、除去食を使った栄養管理を行ったりするスキルも求められます。

支援対象者が子どもである場合は、保育園や小学校の職員と保護者とも連携することが欠かせません。

子どもや保護者の気持ちに寄り添いながら、食物アレルギーの問題解決に取り組むことが肝心です。

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まとめ

食物アレルギー 栄養士 管理栄養士 まとめ

食物アレルギーの発症率が増加するなか、支援のニーズが高まって誕生した食物アレルギー栄養士・管理栄養士。

食物アレルギーに悩むすべての人たちの食事を改善・解決することで、食事を楽しんでもらうことに喜びを感じる人は、食物アレルギー栄養士・管理栄養士の認定を検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献・サイト

  • 公益社団法人 日本栄養士会「食物アレルギー管理栄養士・栄養士」(2019年4月4日)
  • 公益社団法人 日本栄養士会「【お知らせ】特定分野認定制度「食物アレルギー管理栄養士・栄養士」がスタート! 」(2019年4月4日)
  • 公益社団法人 日本栄養士会「平成30年度食物アレルギー基礎研修」(2019年4月4日)
  • 公益社団法人 日本栄養士会「食物アレルギーがある子も、ない子も 「みんなで食べるとおいしい!」を実現させる」(2019年4月4日)
  • 関東学院大学栄養学部「食物アレルギーの栄養管理について管理栄養士の視点から小児の患者さんや保護者を支援」(2019年4月4日)
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