妊婦や産前産後のお母さん、子育て中の保護者のうち、自身と子どもの栄養状態に不安を覚えている人はたくさんいます。
栄養養指導やレシピ提供など、栄養と食事の力を通じ、そんな母子や保護者のサポートに役立つ資格が「母子栄養指導士」です。
母子栄養指導士は、妊産婦食アドバイザーや幼児食アドバイザー、離乳食アドバイザー、学童食アドバイザーの4資格を通じて学んだ、母子の栄養に関する知識を総合的に伝える技能をもつ人を証明します。
母子の栄養支援という面から社会貢献をはかる資格ともいえます。
この記事では、栄養士・管理栄養士のステップアップにも役立つ母子栄養指導士の資格について説明します。
目次
母子栄養指導士は妊産婦や乳幼児~小学生まで母子を総合的にサポートする専門家
「母子栄養指導士」とは、母子栄養のプロフェッショナル。
妊産婦や乳児・幼児・小学生までの母子の栄養を総合的に支援できる知識と技術をもち、子育てを食の面からサポートする役割をもちます。
母子栄養指導士を認定する「一般社団法人 母子栄養協会」は、以下の4つの資格を取得した人だけが受けられる資格。
・妊産婦食アドバイザー
・離乳食アドバイザー
・幼児食アドバイザー
・学童食アドバイザー
4つの資格からさらにステップアップしたい人や母子の栄養指導などに仕事で関わっている人、母子の栄養に関する支援事業をはじめたいなどに人にオススメです。
フリーランス志望の栄養士が取得することが多い母子栄養指導士
母子栄養指導士の講座は、栄養士・管理栄養士がスキルアップや仕事の幅を広げる目的で受講されることが多いです。
なかでも、フリーランスとして母子栄養に携わりたいと考えている栄養士・管理栄養士が受講する傾向が高いようです。
たとえば、幼児食・離乳食などを学べる料理教室やセミナーを開講したり、母子栄養に関するコラムを発信したり、母子栄養協会の専任講師になったりなど、母子栄養指導士としてどのように活動するかは、その人が目指すキャリアや活動のテーマによります。
資格の認定元である母子栄養協会のホームページには、母子栄養栄養指導士の資格をとった栄養士・管理栄養士さんの声も掲載されています。
たとえば、食品メーカーで商品提案などの仕事に携わったのちに、離乳食や幼児食の学びを深めようと母子栄養指導士を取得した人。
小学校や病院といった集団施設での勤務経験から、母子に対する栄養指導の重要性を感じた栄養士・管理栄養士さん。
また、フリーランスとして自分の個性を活かし、興味のある分野に携わる形でライターや講師として活動するために資格を取った人も。
現職でのスキルアップはもちろん、これからのキャリアアップを考えている栄養士・管理栄養士には、母子栄養指導士の資格はぴったりかもしれません。
母子栄養指導士を取得する条件と資格概要
母子栄養指導士の資格を取得するには、同じく母子栄養協会が認定する4つのアドバイザー講座を受講し、試験に合格してアドバイザー資格を取得することが受験条件となります。
それぞれのアドバイザー資格の概要は以下になります。
妊産婦食アドバイザー
妊娠中の人や妊活をしている人、産前産後の食事に不安がある人をサポートする知識と技術を習得する資格。
妊婦さんと接する機会がある仕事をしている人や産婦人科、乳児院などで働いている栄養士・管理栄養士にオススメです。
離乳食アドバイザー
離乳食の作り方に迷っている子育て世代に向けて、離乳食の知識や作り方などを教えるスキルを学べます。
保育園など離乳食を作る機会がある職場で働く栄養士・管理栄養士にピッタリの資格です。
離乳食の料理教室を開きたい人にも向いているでしょう。
幼児食アドバイザー
離乳食を卒業した子どもの食事に不安がある人を対象に、正しい幼児食の作り方や与え方を指導する資格です。
保育園や幼稚園など幼児と関わる仕事をする栄養士・管理栄養士向け。幼児食に悩む保護者にアドバイスをしたり、地域で子育て支援をする活動をしたりと、幼児食に関するスキルを身に着けたい人にオススメです。
学童食アドバイザー
学童期にあたる子どもの食事に悩む人にアドバイスを行う知識と技術を学べる資格です。
小学校の給食に携わる栄養士・管理栄養士はもちろんのこと、学童施設や学習塾などといった施設で働く人にも役立つ学びが得られます。
学童期の子どもを対象とした食育を行う栄養士・管理栄養士にもオススメです。
アドバイザー資格すべてを取得したあと、母子栄養指導士の講座受け付けに応募できるようになりますが、例年の募集人数はおおむね6名と非常に限定的。資格取得は狭き門といえるでしょう。
ちなみに、資格取得者には認定バッジと認定証が与えられます。
カリキュラム・教材・費用
母子栄養指導士の資格取得には「母子栄養指導士養成講座」の受講が必要です。
修了するには2日間の出席が義務づけられています。
講座は東京で開講されていますが、日程によっては福岡と大阪でも受講できます。
ただし、東京以外の都道府県在住の人でも、2日目は必ず東京のキッチンスタジオで受講する必要があるため、注意が必要です。
講座の日程や場所は変更の可能性があるため、必ず下記の協会ホームページをご確認ください。
◆参考: 母子栄養協会「講座カレンダー」
カリキュラムは、主に以下の4つで構成されています(※)。
・セルフブランディング
・講師、指導論
・レシピの書き方、写真の撮り方
・4つのアドバイザー資格の最新情報など
引用元:母子栄養協会「母子栄養指導士養成講座」
母子栄養指導士は、ライターや講師、レシピ提供者といった形でフリーランスとして活躍したい栄養士・管理栄養士が目指すケースが多い講座です。
そのためカリキュラムは、母子栄養指導士の受講前に取得した4つの資格の内容を学問的に発展させたことを勉強するというより、母子栄養指導士として市場価値をつけていくための自己プロデュース力や経営センスを磨く方法について学ぶ内容になっています。
教材は専用の講座テキストを用います。
費用に関しては、認定バッジと認定証込みで118,800円(税込)です。
※講座の内容は、受講する生徒の経験や今後のキャリア方針などによっても多少異なるそうです。内容が気になる方は、協会までご確認ください。
母子栄養指導士になったらイベントで活躍することも
母子栄養指導士を取得すると、協会のバックアップなどもあるなど、活動により一定の信頼を得やすくなるというメリットがあるので、講師としてセミナーを開いたり、料理教室を開催したりなどの活動がしやすくなります。
過去に母子栄養協会主導で開催されたイベントには、このようなものがありました。
・母子栄養学を学びたい人同士の交流会
・離乳食、幼児食に悩むお母さんを対象とした相談会
・子どもの食に悩む子育て世代の悩みに答えるトークショー
・離乳食初心者の保護者のための料理教室
このように母子栄養指導士の資格を取得すれば、母子栄養支援に関する知識を自分らしいテーマや好きな形でアウトプットし、自由に幅広く活動できるかもしれません。
母子栄養指導士の資格に興味のある人やこれから取得する予定の人は、まずは母子栄養指導士が主催するイベントに足を運んだり、講座を受講して自身の活動に活用したりするのもオススメです。
◆参考: 母子栄養協会「イベント」
まとめ
子どもの食事に関して不安を覚えている子育て世代はたくさんいます。
栄養士・管理栄養士ならではの経験や母子指導栄養士としての知識は、そんな子育て世代にとって非常に心強いもの。
母子を栄養の力で支えたい人は、ぜひ母子栄養指導士の資格を取得してみてはいかがでしょうか。
参考サイト
栄養士の就職・転職なら「栄養士のお仕事」におまかせ!
栄養士/管理栄養士の転職をサポートする『栄養士のお仕事』にはさまざまな求人情報を掲載しています。
あなたにピッタリの求人や好条件の非公開求人などもあるので、気になる方は下の画像をクリック!