健康食品や保健機能食品は数多く発売されており、いまや消費者は特別な知識はなくても、商店や通販サイトなどを通じてそれらの商品を手軽に入手できます。
しかし、手軽に入手できるからこそ、消費者は本当に健康に害がないか確かめたうえで安全に食品を摂取したいもの。
そこで、健康食品や保健機能食品の正しい摂取方法や適切な利用の仕方をアドバイスする「食品保健指導士」という資格が求められるようになりました。
この記事では、栄養士・管理栄養士にもオススメの食品保健指導士の資格概要を解説します。
目次
「食品保健指導士」は健康食品知識の専門家
「食品保健指導士」は「公益財団法人 日本健康・栄養食品協会」が認定する民間資格。
消費者が健康食品について正しい知識をもち、適切に使用できるようアドバイスを行う専門家です。
健康食品ならびに保健機能食品に関する知識と利用方法を理解することが食品保健指導士の役割。
健康食品に関する正しい知識と利用方法を消費者に伝え、相談に応じることも責務です。
ほかにも、企業の相談や指導に応じることがあります。
企業に対しては、主に消費者への対応を適切に行うため、安全かつ高品質な製造と販売の提供をサポートしたり、関連法規を正しく理解させることや遵守を徹底させる指導を行います。
栄養士・管理栄養士が取得して役に立つ?
健康食品や保健機能食品は、コンビニやスーパーなどで手軽に手に入り、健康に関心のある消費者でなくても日常的な製品のひとつといっても過言ではありません。
食≒栄養のプロフェッショナル栄養士・管理栄養士にとっても知っておかなくてはならない知識です。
そこで、健康食品や保健機能食品についての専門的な知識が学べる食品保健指導士の資格取得はうってつけの機会ではないでしょうか。
また、「栄養相談」というあまり教育機関で学ぶ機会の少ない業務について学べるのもメリットです。
消費者から健康や栄養の相談を受ける機会のある栄養士・管理栄養士にとっては業務に直結する知識であり、資格取得がスキルアップにつながるケースもあるでしょう。
資格取得が業務に活かせる職場として、
・薬局・ドラッグストア
・保健センター
・ジム・スポーツクラブ
・食品関連企業
・美容関連企業
などがあげられます。
今の職場でなくても、将来的に転職などを考えるさいに上記の職場・業界を視野にいれているのであれば、事前に取得しておくのもいいかもしれません。
食品保健指導士の資格概要
食品保健指導士は国家資格ではなく、民間資格です。
しかし、認定元の公益財団法人日本健康・栄養食品協会は厚生労働大臣によって認可されており、民間でありながらも一定の権威をもつ資格といえます。
食品保健指導士の資格を取得するには、日本健康・栄養食品協会が主催する講習会を受講し、認定試験に合格する必要があります。
有名講師陣にも注目!講習会の概要
資格取得のための講座は「食品保健指導士養成講習会」。
受講するには以下の条件を満たすことが求められます。
・医師、薬剤師、栄養士、看護師、保健師、食品関連業務従事者、保健・食品衛生行政担当者の資格保有者
・4年制大学卒業生かつ食品関連業務に3年以上従事
・短大、高校などの卒業生かつ食品関連業務に5年以上従事
・日本健康・栄養食品協会の理事長により受講能力を認められた者
◆参考:日本健康・栄養食品協会「食品保健指導士養成講習会」
受講にかかる費用は協会の会員・非会員によって異なります。
・日本健康・栄養食品協会会員 76,000円
・非会員 92,000円
・公益社団法人日本通信販売協会会員会社の所属者 76,000円
カリキュラムは20科目と多数用意されており、受講時間は総合で29時間です。
健康食品や食品成分の知識、臨床栄養学、食品衛生法、食品表示法、健康食品の企画など、基礎知識から応用的な知識まで網羅的に学べます。
カリキュラムの一覧はこちらから。
また、食品保健指導士養成講習会の講師は「一般社団法人臨床栄養実践協会」の理事長や神奈川県立保健福祉大学の学長、医療法人の理事長、九州大学大学院の教授など、名だたる経歴やスキルをもった人たちが並んでいます。
名のある大学や医療法人の講師のもとで充実したカリキュラムの講習が受けられるため、健康食品はもちろんのこと、それに関連する法律や指導方法なども専門的かつハイレベルな水準で学べるでしょう。
更新は5年ごとで10単位必要
食品保健指導士は、5年ごとに認定資格を更新する必要があります。
更新するには、講習会や学会などに参加し、10単位以上取得することが条件です。
その際、参加を証明する資料として、受講票や領収書などを提出します。
日本健康・栄養食品協会、日本食品保健指導士の講習会に参加した場合は参加の証明書となるものは不要です。
また、「食品保健指導士認定資格更新申請書(様式第4号)」の提出もあわせて必要です。必要事項を記入し、単位の取得証明となる書類と一緒に協会に送ります。
単位が確認されたあとは更新手数料2,160円(税込)を支払います。
およそ1~2ヶ月で更新は確認されるのが通例です。
単位取得が認められる3つの対象
食品保健指導士の更新単位となる対象は以下の3種類に分けられます。
①研修会・講習会
ここにテキストを入力
・日本健康・栄養食品協会あるいは日本食品保健指導士が主催する講習会(1~2単位)
・日本健康・栄養食品協会あるいは日本食品保健指導士会以外が単位を認定する講習会、研修会(1~2単位)
・食品保健科学の学校・講習会・研修会に参加(1単位)
②学術論文・雑誌などへ原稿提供あるいは学校での講演や発表
・食品保健科学に関する学会等への論文筆頭者(3単位)
・食品保健科学に関する学会等への論文共著者(1単位)
・食品保健科学に関する学校等げの論文発表、講演(2単位)
・食品保健科学に関する講習会等の講師(2単位)
・健康食品の関連雑誌等への食品保健指導士活動に関する原稿執筆(2単位)
◆引用元:日本健康・栄養保健協会「食品保健指導士認定資格の更新制度について」
③日本食品保健指導士会の活動貢献と参加
・「指導士会、指導士会支部の運営協力」(2単位/1年)
・指導士会会員として情報収集を定期的に行う(1単位/1年)
・「指導士会会報やホームページへの投稿」(1単位)
・協会認可の指導士会活動へ協力(1単位)
◆引用元:日本健康・栄養保健協会「食品保健指導士認定資格の更新制度について」
食品保健科学と関連のない講習会や勉強会への参加は単位換算されません。
受講の証明となる書類が発行されない講習会と勉強会への参加も単位換算の対象とはならないため、ご注意ください。
食品保健指導士として兼業・副業で活躍できる
食品保健指導士の仕事は、消費者や企業から寄せられる健康補助食品に関する相談に応じることがメイン。
ほかにも健康補助食品のセミナーで講師を務めたり、健康食品の市場調査に協力したり、日本健康・栄養食品協会に講師として登録し、派遣されたりすることもあります。
資格は、以下の職業の人が取得する傾向が見られます。
・社員食堂勤務の栄養士
・食品メーカーに勤務する管理栄養士
・薬剤師
・老人ホームの勤務者
・健康に関するコンサルティング業に勤務する者
一般的に、こうした人たちは副業や兼業という形で食品保健指導士の仕事を行っているとされています。
社員食堂はもちろんのこと、薬局や高齢者施設、またスポーツジムなど、栄養士・管理栄養士が活躍する場所では、健康に不安を抱えている人が多くいる傾向があります。
健康への不安がきっかけで健康補助食品の摂取を検討する人のために、栄養を通した健康の維持や増進に日頃から貢献する栄養士・管理栄養士が健康補助食品に関する知識を身に着けることは、仕事の幅や視野を広めることつながるでしょう。
食品保健指導士の資格を取得することで担当の患者さんやお客さまからさらなる信頼を寄せてもらえるよう可能性もあります。
まとめ
健康補助食品は誰でも気軽に買える商品ですが、体に影響を与える商品である以上、適正な量や正しい食べ方を守る必要があります。
食品保健指導士一本で活動する道は一般的ではなく、あくまで副業や兼業という形がメインとなりますが、患者さんやお客さまから健康食品や健康補助食品に関する質問をされる機会が多かったり、それらの知識も必要な現場で働いている人は、資格を通じて勉強するとよいかもしれません。
参考文献・サイト
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