栄養士として現役で働くみなさん!
はじめまして、ライターの海です。私は8年半、保育園で栄養士・管理栄養士として働いていました。
ところで、栄養士のみなさんは働きながら「管理栄養士を取りたい」と思ったことはありませんか?
保育園で働いていた私は、職場で管理栄養士の資格を持つ後輩が入って来たときに、
「経験値は自分の方が上だけど、栄養学の知識が劣っている……」
「同じかそれ以上の仕事なのに、給料や待遇が栄養士の自分と全然違う……」
とモヤモヤした経験があり、管理栄養士の取得を目指しました。
ですが、栄養士養成課程の既卒者の合格率は、20%前後~10%を切る年もあるほど。
既卒から管理栄養士の資格を取るのは「狭き門」といえます。
私自身、働きながら受験すること3度目にして、ようやく自己最高得点で合格できました。
実際、働きながら勉強することは相当な努力がいります。
現場では火車のように走り回り、帰宅するころにはクタクタな毎日ですよね。
そこで、どうやって働きながら資格取得したのか、私の経験をお話していきます。
目次
「もっと頼れる存在になりたい!」管理栄養士の取得を決意
短大を卒業し、栄養士として働いていた私が「やっぱり管理栄養士を取ろう」と思ったのには、2つ理由がありました。
①スキル・キャリアアップがしたかった
保育園で働いていたとき、管理栄養士の資格をもった後輩が毎年入ってくるのを見ているうちに、「自分より遥かに栄養士としての知識・実力があるな」と 悔しさを感じるようになりました。
仕事に追われる毎日のなかで、経験値が上がっているのは実感していましたが、後輩の管理栄養士たちを見ているとスキル面で物足りなさを感じていたのが、正直なところ。
さらに、管理栄養士の資格をもっていることで責任者として昇進できたり、出張を任されたりなど、キャリアアップできる環境が私の職場にはありました。
実際プロジェクトチームの中心的存在として活躍し、仕事の幅をどんどん広げている管理栄養士の上司の姿を見ていたこともあり、
「私も自分のアイデアをもっと活かしたい」
「これだけたくさんの権限や経験を積詰めるのなら、転職の際に有利になるのでは?」
「何よりも、保育園の園児や保護者のためにも、もっと頼れる存在になりたい!」
と決意したのです。
②給与アップが見込めた
また、給与面の改善が期待できたことも、管理栄養士を取ろうと思った理由のひとつでした。
施設や地域などにより昇給の条件や金額は異なるとは思いますが、私の職場では、管理栄養士を取得すると多少給与も上がることになっていました。
「管理責任者」に任命されれば、管理職として昇給も期待できます。
病院など、管理栄養士必置義務の施設では数万円の昇給が見込めることもあるようですので、給与の面から管理栄養士の資格を取ることにした人は、私以外にもいるかもしれませんね。
まずは国家試験までの1年間の学習計画を立てる
働きながら管理栄養士の資格を取ることにした私は、仕事と勉強を両立させるためにも、まずは年間の学習計画を明確にすることから始めました。
例年3月にある国家試験受験に備えて、約1年勉強するにあたって1ヶ月ごとに勉強する教科を決めていき、段階的な学習計画を立てていきました。
具体的な順番としては、まずは「基礎栄養学」から取り組むことに。
基礎を重視したのは、基礎をわかっていないとその後の応用的な教科も理解できないと思ったからです。
なので、ひととおり基礎にあたる教科を網羅したあと「人体の構造と機能及び疾病の成り立ち」や「臨床栄養学」などの教科にとりかかりました。
暗記系は最後に詰め込みで!
一方、「暗記系」と呼ばれるような「社会・環境と健康」・「食べ物と健康」・「栄養教育論」・「講習栄養学」といった科目は、最後の月の方に詰め込みました。
なかでも「食べ物と健康」は出題数も多く、範囲も広いので勉強が大変だと判断し、他の教科の箸休め的に毎日こまめにパラパラと教科書をめくることで記憶の定着をはかりました。
仕事の日・休みの日のスケジュールと勉強のコツ
約1年を通した学習計画のほかには、「仕事のある日」や「休みの日」の1日のスケジュールを決めることも、勉強するうえで大事な要素です。
仕事の日でもガッツリ勉強!
普段の仕事がある日は、
朝の出勤前(5分〜1時間)
通勤中(1時間)
休憩中(1時間)
帰宅後(5〜15分)
就寝前(1時間〜2時間)
を勉強時間にあてていました。
通勤中
私は通勤に電車・バス・車を利用していたので、公共交通機関を使う日はテキストを読んだり問題集を解いたりしながら通勤し、車を運転するときは教材用のCDを聞いていました。
休憩中
休憩中は、食事をしてから単語帳を見たり、仕事にも関わる「給食経営管理論」などは勉強している内容とつなげて理解するようにしていました。
「この業務にはこういう理由があるんだ」と考えながら確認するとより理解も深まったので、働きながら管理栄養士を目指す人はこういう連想も勉強につなげられるといいですね。
帰宅後
帰宅してからは、苦手なところを何度も口に出して忘れないように頭で上書きしながら過去問題を解いたり、集中が切れそうな時は管理栄養士を目指す仲間とメールで連絡を取って問題を出し合ったりもしました。
勉強できない日も焦らずに
また、保育園で働いていたので、お泊り保育や保護者向けの講座開催、県外出張、内部研修、夜の会議など、イレギュラーなこともときどき起こります。
そんな日は「できることだけをしよう」と割り切って、1ページだけでもテキストをみるようにして、仕事と両立するうえで無理なく継続できる方法を意識していました。
勉強は焦らず自分のペースで進めていき、人と比べないことが肝心です。
休日にしかできないことで勉強を「楽しいもの」に
丸一日勉強という日もありましたが、趣味も充実させており、ダンスやバスケットボール、料理教室などにも参加しながら勉強を継続していました。
ときには、友達や彼氏などと「勉強デートしよう!」ということで、街に出て色々なカフェで勉強したり、場所を変えて大学などの図書館にも出向き、勉強する環境を変えることで、勉強の時間をなるべく楽しいものにする工夫も忘れません。
誰かと一緒に勉強すれば、問題をお互いに出し合うなどいつもと違う形でのインプット・アウトプットができるので刺激になります。
自分の言葉で問題を説明することになるので、より理解が深まったように思えました。
「一人でつらい」からこそ勉強に工夫を
一人で勉強するにしても、「ただ見るだけ、書いて覚えるだけ」よりも、「口に出して知識をアウトプットする」ことを意識したものです。
個人的には、口に出して勉強してみる方法が、一番頭に入ってきました。
ちなみに自宅では、すぐ席について勉強できるように、わざと教科書を机の上に開いたままにしたり、教材用のCDにタイマーをセットして目覚まし代わりに鳴らしたりなど、常に勉強できる体制をつくっていました。
3度目の正直のため、予備校へ通学
最初の2年は独学で勉強していた私ですが、「10点足りない」「あと1点足りない」など、あと少しで合格できる状況をさまよって悔しい思いをしたので、3度目の受験では予備校に通うことに(正直、勉強の仕方がわからなくなってもいました……).
みなさん、予備校でかかった費用なども気になると思うので、独学のときにかかったテキスト費用なども含めて、予備校の費用や通ってよかったことなどを紹介したいと思います。
独学ならほぼテキスト代のみ! 自分だけの教材も作ってモチベをアップ
独学のときにかかっていた費用は、8,000円程度の教材代のみです。
教材には、管理栄養士を取得した先輩や後輩、友達がすすめてくれた、栄養セントラル学院「きそカン」と過去問題集の2冊を使っていたので、2冊あわせて8,000円程度でした。
管理栄養士の国家試験対策となるテキストは種類が多くて迷ったのですが、「きそカン」はカラーで見やすく、挿絵もわかりやすくて「一番理解しやすそう」と思ったので購入しました。
実際かなり使い込みましたし、今でも見返すことも多いので買ってよかったと思えるテキストです。
テキストは古本でも安く売られていたりはしますが、数値や内容が変わる年もあるので、最新版をを購入した方がよいかと思います。
また、独自のテキストを使った勉強法として、私は自分だけのスペシャルブックも作っていました。
「きそカン」には載っていない、情報が足りない部分を書き込んだり、「きそカン」の文章を自分の言葉に変えたものをまとめたりした一冊です。
「楽しく勉強する!」をモットーにしたかったので、スペシャルブックには好きなシールを貼ったり、好きなペンを使ってインデックスなどをデコレーションしたりなど、見るたびにワクワクするような工夫を凝らしていました。
受講料だけじゃない! 細かな費用も積もる予備校費用
いっぽう、予備校にかかった費用は合計で約30万円以上。
内訳はこんな感じです。
・予備校受講料(テキスト代・模試代込):約22万円
・冬期講習:約3万円(2日間)
・合宿:約6万円(3日間)
・直前講習:約1万円
一口に予備校に通うといっても交通費もかかりますし、合宿がある時は宿泊費もかかります。
予備校の授業は月に1回開催されていたのですが、私は車で通学していたので1回の参加につきガソリン代は約500円、駐車場代も約800円かかりました。
朝から夕方までの1日授業で、もちろん昼食代もかかります(私はお弁当を持参しました)。
県外で講習が行われる場合は新幹線代やホテルの宿泊費、食事代もかかるので、総合すると約2万円~3万円はかかったと思います。
ちなみに、私の通っていた予備校は受講料の分割支払いに対応していたのでそれを利用しました。
通信講座の場合、費用は約16万円と、予備校に通うお金と比べれば少し安めになっているようです。
もし予備校に通うことに決めているなら、ある程度まとまったお金や予定外の出費は、想定しておいた方がよいと思います。
さまざまな受講生との勉強が刺激になる環境も予備校の魅力
予備校の授業は日曜か休日の開催がほとんど。
保育園勤務の私はほぼ定休日なので大丈夫でしたが、受講生のなかには職場で休みを取って参加する人も。
また、受講生は私のような社会人からお子さんがいる主婦、ブランクがある人など、さまざまな人達がいました。
年齢、性別関係なく、苦楽を共にした仲間は今でも友達です。たくさんの刺激のある環境で勉強できたと思っています。
もちろん、自宅から遠いなど通学が難しいという人は通信講座を利用する手もあるかと思います。
自分のライフスタイルに合わせた勉強の仕方を見つけられるといいですね。
ちなみに、私が予備校を選ぶ際には、何校か見学にも行きました。
真剣な雰囲気にのまれそうになりましたが、「同じ目標をもった仲間がこんなにいるんだ」と思うと心強かったのと、授業風景を見ているうちに「ここまで理解できるようになるんだな」と思えたことを覚えています。
まとめ
働きながら勉強することのハードさや費用のことなどを考えると「やっぱり自分には難しい……」と思う人もいるかもしれません。
でも、資格を取ったときはものすごく達成感を覚えましたし、そもそも管理栄養士の資格はそれぐらい努力して取る資格なのだと思います。
ぜひ、自分のやりやすい勉強方法でチャレンジしてみてください。
これから取得を目指すみなさんのご健闘をお祈りしています!
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