『栄養士のお仕事Magazine』の読者のみなさん、はじめまして。ライターのとら子です。
管理栄養士として委託会社・病院などに勤務し、現在は人事・採用を担当として、一般の方や管理栄養士の経歴をもつ方々の選考にも携わっています。
昨今は健康への意識が高くなっていることも手伝って、管理栄養士資格を持つ人材を求める企業が増え、一般企業でも管理栄養士が活躍する機会が増えているように感じます。
そこでこの記事では、いち企業の人事・採用担当をしている筆者の経験と視点から、
「ぜひ、当社に欲しい!」
「当社で活躍してくれそう!」
と思ってもらえる管理栄養士には、どんなスキルが必要なのか?
また、管理栄養士として活躍できるフィールドを広げていくためには、どのようなスキル・経験・経歴を重ねていけばいいのか?
といったお話をしたいと思います!
管理栄養士のみなさんは、今後のキャリアプランを考える際の参考にしてみてください。
目次
管理栄養士の活躍フィールドは一般企業にも広がっている!
管理栄養士は「食を通じて人々の健康をサポートする」ことをミッションとしている専門職です。
そのため、活躍場所は病院や老人ホームなどの福祉施設、保育園や小学校などの子どもを対象とする施設などがオーソドックスですが、最近では、食品会社の研究・商品開発やドラッグストア、美容関連企業、フィットネスクラブ、IT企業などなど、いわゆる「一般企業」でも管理栄養士の資格保有者を求める求人が増えています。
このように、管理栄養士が活躍できるフィールドが広まった今、管理栄養士にはどのようなスキルや経験が求められているのでしょうか?
管理栄養士が多方面で活躍するために最低限身につけたいスキルはこの3つ!
近年、社会的に健康への興味度が高くなっており、メディアでも健康や疾病予防、ダイエットをテーマにした番組や記事が増えていますよね。
この傾向は一般企業としてはビジネスチャンス。
というのも、商品に対して「健康」という付加価値をつけることにより、企業としては売り上げアップが見込めるのです。
こうしたビジネスチャンスを拡大できる人材として、採用のニーズが高まっているのが管理栄養士。
なぜなら、管理栄養士には「食を通じて人々の健康をサポートすることをミッションとしている専門職」としての知識やスキルがあり、世間一般にも「食のプロフェッショナル」というイメージが広まってきているからです。
こういった世間の動向により、管理栄養士が活躍できるフィールドは一般企業の間にも広がってはいるものの、活躍できる場所が多様な方面に拡大した分身につけたほうがよい知識やスキルも増えています。
では、これからの管理栄養士にはどのようなスキルや経験が求められているのでしょうか?
私がこれからの管理栄養士に必要だと考えるスキルは、
・「コスト感覚」
・「ビジナスマナー」
・「ITリテラシー」
の3つです。
①「コスト感覚」をもつ管理栄養士の需要は一般企業だけに留まらなくなってきた!
一般企業は営利目的で事業を展開しますので、顕著にコスト感覚が必要とされるのは勿論のこと。
また、近年では一般企業だけではなく、病院や福祉施設など「利用者さん・患者さんが美味しいと喜んでくれる食事を提供すること」、つまりホスピタリティの提供が第一の使命である職場であっても「いかに利益を出しながら顧客満足度を維持・向上するか?」といった思考を持ち、成果を出す人材が必要とされています。
それを物語るように、2015年には「栄養経営士」という認定資格が設立されました。
栄養経営士とは、栄養管理チームのマネジメントに関わるリスクマネジメントや人材育成など、「栄養管理の経営」の知識と技術を証明する資格です。
※くわしくは以下の記事から。
ここでいう「コスト感覚」とは、
・調理スタッフが1人で足りるような作業に2人あてるようなシフトを組んでいないか?
・廃棄ロスが多い野菜の切り方をしていないか?
・水道を無意味に出しっぱなしにしていないか?
などなど、日常の業務の中で削減できたり工夫できたりするような負荷のある「コスト」をいかに意識できるか、という感覚を指しています。
「コストの意識や削減」というと、ついつい難易度が高いことをイメージしてしまいがちですよね。
でも、「コスト意識を高める=経営学・経済学の領域に関する勉強をしなくてはならない」といった高度なことは必要なくて、日常の中でどのような部分にコストがかかっているかとを気にするだけでも良いと思います。
実際、採用面接の際には、ただ「美味しい献立を作るために、工夫していました!」という人よりも「食材のロス率を低減するために、パート教育を徹底して行っていました!」というエピソードを持っている人の方が、「ビジネス的な感覚を持っているな!」と思えるので、ポイントが高いです。
まずは美味しい食事を提供するために必要な 「人件費」・「材料費」などについて、無駄がないかを意識する習慣を持つことが大切だと思います。
② 一朝一夕では身につきにくい「ビジネスマナー」!普段からの練習と実践が肝心
お客様や他企業の方など、対外的な業務が多くある環境の場合、名刺交換や電話応対、お茶出しの作法といった、ビジネスマナーの習得は必須となります。
私自身の経験ですが、委託会社の管理栄養士から一般企業に転職したとき、一番最初につまずいたことは、ビジネスマナーでした。とくに、「外線対応」には苦労しました……。
一般企業に入社したてのころは「敬語なんて、学生のころから習っていているから分かっている!」と思っていましたが、いざ電話で話してみるととっさの時に言葉が出ませんでしたし、謙譲語と尊敬語がぐちゃぐちゃに混ざった、たどたどしい対応しか出来ませんでした。
「さすがにこのままではマズイ」と思い、ビジネスマナー検定を受検したり、本を読んで勉強したりして、外線対応への苦手意識はなんとか克服。
当時は「出来ないのは私だけじゃないか……」と不安に思っていましたが、その後に入社してきた私と同じ経歴の栄養士達も、外線対応には苦戦していました。
ビジネスマナーの有無は「採用面接」でバレる
ちなみに、日頃ビジネスマナーを意識しているか否かが顕著に出るのは「採用面接」。
その場だけとりつくろうとしても、10分程度会話をしていると「あ、日頃は意識してないな?」と分かりますので、きちんと習得した上で面接に臨むことをオススメします。
ビジネスマナーのスキルを磨くには、実際に経験することが一番よいですが、職場環境により誰でも経験できるとは限りませんよね。
なので、「私は出来るだろう」と思わずに、ビジネスマナーについて書かれた本を読むなどして知識を頭に入れておいたり、いざという時に「これを見れば調べられる!」というツールを手元に置いておいたりするだけでもよいと思います。
ビジネスマナーの習得は、日々の業務に追われる中でないがしろにされやすいです。
しかし、活躍のフィールドが広がれば、それに比例して、対外的な接触機会も増えていきますので、ビジネスマナーは日頃から鍛えておく必要があります。
③「ITリテラシー」は今後、どんなフィールドに行っても必ず必要になる!
ITの発展により、電話だけではなく、メールや情報システムを使う職場が確実に増えています。
そのため、PCの操作やアプリケーションの操作、とくにエクセルやワード、パワーポイントといったソフトの基本操作ができる力は管理栄養士にも必要です。
実際に、採用面接では「PCを使った業務経験はありますか?」といった質問をするケースがあったり、応募資格に「エクセル・ワードが初級レベルで使用できる方」といった条件を記載したりすることがあります。
私が採用面接をする際も、このような質問は必ずしています。
今後の時代は、どんな職場やフィールドであっても、ITの使用・活用は必須です。
そのため、全くPCを使ったことがなかったり、使えなかったりすると、それだけで自身が活躍できるフィールドが狭くなってしまいます。
「●●の基本操作はできます」でも採用担当の評価アップ! 初心者は自宅などでも練習を
といっても、プライベートや大学の授業なども含め、まったくPCソフトの操作経験がなく、仕事でも使う機会がない、という人もいるかもしれません。
まずは練習でいいので、エクセルから触ってみることがオススメです。
いちから表が作れるようになることを目標に操作してみて最初は数式、次はグラフ……といったように、徐々にできることを増やしていくと良いでしょう。
エクセルの操作は自宅でもできることですのでぜひ、1週間に1回程度でもいいので、やってみるとよいと思います。
内容はなんでも構いませんが、「毎食のカロリーを記録する」「体重を記録する」など自分の身の回りで簡単に記録できるものから始めるといいでしょう。
世間的には「管理栄養士はPCが苦手」と思われやすいので、「ワードとパワ―ポイントは使用経験がないですが、エクセルはグラフ作成など基本操作はできます!」といったアピールができると、採用担当者からの評価は高くなるでしょう。
「+α」のスキルもあれば更に自分の可能性を広げることができる!
ここまでのお話をまとめると、管理栄養士が活躍フィールドを広め、幅広いキャリアを築いていくには、「管理栄養士としての知識」を追求するだけでは難しいのが現状です。
また、上記した3つのスキルはもちろんのこと、専門知識以外の「+α」のスキルやチカラも求められるようになってきています。
私の場合は人事・採用担当という経歴が、+αのスキルやチカラにあたります。
+αとなるスキルは、管理栄養士一人ひとりのキャリアプランが異なる以上は、内容も異なって当然です。全員が同じ「+α」のスキルを身に着ければ良いわけではありません。
例えば、+αのスキルを身に着ける手段のひとつに、資格を取得するという方法があります。
IT企業で活躍したいのであれば、「ITパスポート」というITスキルを証明する資格を取るのもいいでしょうし、美容やフィットネスなどの分野で活躍したい場合は、サプリメントの知識を勉強できる「サプリメントアドバイザー」の資格を取得するのもよいでしょう。
このように、資格取得は目標としてかなり明確ですし、履歴書にも記載できるので有利です。
それ以外では、経験を積み重ねていく方法も挙げられます。
そのためには、常にアンテナをはり、フットワーク軽く行動できるようにしておくことが重要です。
例えば、今の職場で「参加自由な院内勉強会」があれば参加してみたり、日本栄養士会が開催するイベントに参加してみたり。
そのような経験が、次のキャリアにつながっていく可能性もあります。
たとえ現在の仕事には関係なさそうなことであっても、興味を持って積極的にトライしてみると、思わぬところでチャンスがめぐってきて、道が開けていくこともあります。
そうやって+αのスキルやチカラを今の内に身に着けておくことが、みなさんの活躍の場を広げていくことにつながることを、ぜひ知っておいてください。
まとめ
管理栄養士が活躍できるフィールドは、恐らく、今よりも更に拡大していくでしょう。
しかし、その分「求められるスキル」も高度なものになるため、管理栄養士という資格だけを頼りにしていると、せっかくの活躍の機会を逃すことになりかねません。
ですから、「今後、自分はどんなキャリアを歩みたいのか?」をイメージすることが大事です。
その上で、それを実現するために必要な諸々のスキルや経験を身に着けるためのアクションを、今から起こしておきましょう!
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