栄養士の実務ノウハウ

新人栄養士は必見!「指導監査」問題~ここを押さえておけば怖くない~

指導監査_アイキャッチ

新人栄養士の現場業務において、「指導監査」は大きな課題のひとつですよね。

私も監査の時期が近づくと、書類の準備や不備がないかチェックをしたり、確認作業に追われたりします。

まだ経験も浅い新人栄養士さんとしては、
「何から始めたら良いの?」
「どんな書類を用意しておけばよいの?」
「どんなことを指摘されるの?」

など、漠然とした不安や疑問が募りますよね。

そこで、今回は巡回指導監査および立入検査の傾向と対策をお伝えしていきたいと思います。

給食施設における指導監査の目的とは


監査とは、給食施設における衛生状況や栄養管理が適切に行われているか、実施状況の確認を行うためのものです。

指導監査は各地方公共団体が実施

私が勤務している委託先の認定こども園では、以下の地方公共団体の職員が、それぞれの団体で使うマニュアルに沿って確認を行っていきます。

団体 マニュアル
市役所 保育課(※) 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律 第19条1項
保健所 健康増進課 健康増進法
保健所 生活衛生課 大量調理施設マニュアル

※自治体によって名称は異なります。

用意しておく関係書類は、共通しているものもあれば、異なるものもあるので、まずはそこから確認してみてください。

各団体別・事前準備すべき帳票類及び根拠書類

指導監査として来る公共団体は、市役所・保健所の健康増進課生活衛生課です。
一例にはなりますが、以下が公共団体別に用意しておくべき関係書類の一覧になります。

市役所

・献立表 ・アレルギー対応関連記録・給食会議録 ・検食簿 ・調理員検便検査記録 ・衛生管理点検表 ・害虫駆除記録 ・調理業務委託関係書類(委託の場合のみ) ・温度管理点検表 ・従業員健康診断結果表 ・給食実施業況報告書

健康増進課

・献立表 ・検食簿 ・給食日誌 ・栄養出納簿 ・給食予定人数表 ・給食注文表 ・温度管理点検表及び検収記録 ・衛生管理点検表 ・在庫管理記録簿 ・給食会議録 ・給食実施状況報告書 ・食事だより ・喫食調査 ・残食記録表 ・調理指示書(作業工程表) ・アレルギー対応関連記録 ・食中毒発生時対応マニュアル ・調理員検便検査記録 ・日本人の食事摂取基準 ・日本人の食事摂取基準(運用と実践)

生活衛生課

・大量調理施設マニュアル ・温度管理点検表及び検収記録 ・衛生管理点検表 ・調理員検便検査記録 ・微生物検査結果表(肉・魚)※ ・殺菌液(次亜塩素酸ナトリウム)の作成方法
※納入業者に年1回結果表をもらってください。

「先生との連携」と「日々の事務努力」監査で大事な2つのポイント


帳票類の種類を大まかに列挙しましたが、その帳票などを作成するための重要なポイントを紹介します。

①日々の会話も議事録に盛り込む

給食会議は定例会のような形式で行われたり、少人数のミーティング形式で行われたり様々だと思いますが、そういった先生達との連携業務は、監査で役立つ情報が聞ける良い機会です。

ただし、重要なのは会議だけではありません。
以前、監査を受けた際に指導員から「立ち話のような日々の会話が一番重要」と言われたことがあります。
たとえ日々の井戸端会議であっても、その時先生達と交わした会話をその月の議事録に盛り込むようにしています。

先生達との協力は園児達の安全のためにも重要

園児を安心・安全に教育していくためにも園内での協力が何よりも重要ですが、それは監査のときだけではありません。

たとえば、私の職場では「食中毒発生時対応マニュアル」を園の先生達と相談してフローチャート図にし、園側と給食室とで1冊ずつ保管しています。
そのほか、アレルギーの対応に関しても、園や先生との連携が不可欠です。

②毎日の記録も忘れずにコツコツと

「温度管理点検表及び検収記録」や「衛生管理点検表」など、毎日記入していくものは、1日でも怠ってしまうと、指導監査の時期になって困ることに……。

検収記録の記入を例に取ると……

・納品時間
・納品業者名
・品目
・室温
・産地
・賞味期限
・ロット番号
・異物や品温

以上を毎日きちんと記入することを心がけておきましょう。

欠勤者の記録も念入りに!

ほかにも「衛生管理点検表」などでは、欠勤者がいる場合は空欄にしておくのではなく、斜線を引いて欠勤者がいたことを明確にわかるようにしておくのがベターだと思います。指導監査のときに細かく指摘されることがあるからです。

「あとでいいや」とやり過ごしてしまうと、監査準備をする際に困ることになって、結局は自分に負担がかかるだけ。
日々の事務作業は地道ですが、監査で困らないためには大事なポイントです。

保健所監査のポイントをさらに深堀り!

ここからは、保健所の健康増進課生活衛生課の監査に絞ってお話します。

給食実施状況報告書の重要性

まず保健所の健康増進課の監査です。
指導員からもっとも質問・指摘されるのは「給食実施状況報告書」についてです。

年に2回この報告書を保健所に提出しますが、日頃の行いができているかがチェックされます。

意外と抜けがちなのが、栄養士の員数に変更があった場合に「変更届」を提出しなければならないことです。

前期(5月分)の提出の際は「食品構成表」や目標栄養量や「やせと肥満の割合」を算出するため、身体測定の結果の入力業務も発生しました。

また、栄養情報を書く際には、以下の実施ができているか確認しましょう。

・献立表や食事だよりの配布の有無
・アレルギー対応児がいる場合の代替食の有無/別途の献立表の有無
・喫食調査の有無
・給食会議の有無
・外部研修への参加の有無

これは一例であって、記入項目はかなり多いです。できるだけ「無」を埋めるための帳簿作成や研修への参加が必要となってきます。

書類上の数値には「根拠」が必要

健康増進課の指導監査では、目標栄養量の設定の際「何を根拠にその栄養量を設定しているのか」質問されます。

例えば……

「対象児を5歳男児(生活活動レベル(普通))と設定した場合、1日の摂取カロリーは1400kcal。昼食は30%が目標なので、390kcal前後になります。」

と、きちんとした根拠をもって答えれられなければ、厳しく追求されることがあります。

その根拠書類として『日本人の食事摂取基準』『日本人の食事摂取基準(運用と実践)』の2冊は必ず準備しておきましょう。

衛生課の立入検査のポイント

生活衛生課の立入検査では、以下のような項目に沿って大量調理施設になぞらえて細かく指導されます。

指導項目例

・生食で食べる野菜や果物の消毒方法やまな板と包丁の使い分け(野菜・肉・魚・調理済みなど)
・エプロンの使い分け
・床上30センチに物が置かれていないか
・履物の消毒
・汚染区域・非汚染区域の区分けがされているか など

薬剤量などは「早見表」を作っておくと◎

また、生食で食べる野菜や果物の殺菌液(次亜塩素酸ナトリウム)の作成方法や使用方法についても聞かれるので要注意。

「次亜塩素酸ナトリウムは食品添加物が含まれているものを使っているか?」「適切な濃度の殺菌液で漬けているのか?」など、殺菌液の希釈倍数や薬剤量が適切でなければ、園児に誤った濃度の殺菌液で消毒したものを喫食させていることにも繋がります。

次亜塩素酸ナトリウムの作り方や薬剤量は早見表を作成し、厨房内に貼り出しておくことがオススメです。

あったら役立つお助けアイテム

書類を作成するにあたり、「栄養管理ソフト」があると作業効率が格段に向上し、事務の負担が軽減します。

算出に時間のかかる栄養量や「食品構成表」も自動計算されるので、迅速かつ正確です。
ただし、栄養管理ソフトは高価なので、施設長や委託元の上司が渋るかもしれません。その場合、リースで購入できるものもあります。
お金がかかるものとはいえ、栄養士への負担や時間的なロスを考えるとかなり役立つお助けアイテムだと思います。

衛生講習会は監査情報の宝庫

監査に関する情報は、保健所が主催している「衛生講習会」に詰まっているといっても過言ではありません。事前に日程の通知があるので、現場の従業員に了解をもらい、出席しましょう。
食中毒の発生状況や消毒の手順、監査書類についてを知ることができます。

ほかにも、先にあげた厚生労働省のHPで「大量調理施設マニュアル」や「食品衛生法の改定」などが記載されているので、時々チェックすることも必要です。

現場業務で大切にしておくこと


最後に、指導監査を通過するうえで、普段の現場業務において大切にすべきことを2つ紹介します。

①園や先生とのコミュニケーション・連携

監査のポイントでも記載しましたが、園や先生とのコミュニケーションと連携は本当に大切です。

園の先生の協力をなくしては、監査をくぐり抜けることはできませんし、日々の給食業務にも影響します。

相手が目上の先生である場合は緊張することもあるでしょうが、園児のことを考えた献立作成や対応には、普段から連携を取っておくことで共通認識を持ったり、意識統一を図ったりすることも重要だと思います。

②デスクワークの時間確保

私の場合、午前中は調理室に入ってることがほとんどです。
空いた時間や午後の下膳・洗浄時間はデスクワークの時間にさせてもらい、就業時間内に事務作業を終わらせるようにしています。
デスクワークの時間は帳簿作成にとって絶対必要ですので、現場の調理員さんと助け合えるようにコミュニケーションを取ることが大事です。
※きちんとコミュニケーションを取らないと、時々ベテランの調理員さんに理解してもらえないことがあるので新人さんは要注意!

まとめ

指導監査は、監査員や施設長(理事長・園長)が同席している中で行われるため、それはそれは緊張します。

また指導監査は決められた時間内で行われるので、指導員から矢継ぎ早に質問されることも。質問されるたびにすかさず帳簿を出せるようにしておきましょう。
日頃の業務がきちんとできていれば、何も恐れず、監査当日は堂々と臨むことができます。

たとえ厳しく指摘されたとしても、ただ落ち込むのではなく、改善して園児達により良い給食を提供するための必要なプロセスだと考え、日々の業務につなげていくようにがんばってください!

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栄養士。5歳の息子の母です。保育園→幼稚園→認定こども園の栄養士を15年くらいしています。子どもたちのにぎやかな声の中で楽しく仕事をしています。▼kurarumiさんの記事一覧はこちら