近年、保育園・幼稚園などの乳幼児教育から小学校などの初等教育までの広い範囲で「食育」が注目されています。
食育で大きな役割を担うのは、もちろん食に関するプロフェッショナルである栄養士・管理栄養士のみなさんです。
しかし、いざ「食育」実践が求められると難しいもの。
実際に、就職や転職で食育の知識と実践を求められ困ってしまっている方もいるのではないでしょうか。
そこで役立つのが「資格取得を通じて食育を学ぶ」という学習方法です。
数ある食育関係の資格のなかでも、栄養士・管理栄養士が食育を学ぶためにオススメなのが「食育栄養インストラクター」です。
この記事では、
・食育栄養インストラクターとはどのような資格なのか?
・取得にはどんな条件が必要なのか?
・栄養士・管理栄養士としてのスキルアップやキャリアアップにつながるのか?
など、食育栄養インストラクターに関わる疑問に答えるため、その資格概要や活かせる職場、取得方法をまとめました。
目次
「食育栄養インストラクター」は食育推進のプロ
「食育栄養インストラクター」は、「全国栄養士養成専門学校協議会」が認定しています。
資格名のとおり、「食育」の推進に重点が置かれた資格。
地域社会や職場において食育推進に貢献できる栄養士・管理栄養士の育成が目的です。
履修内容は、食育の基本理念から食文化、保育園や学校での実践法など食育の総合的な知識を得られるため、まさしく栄養士・管理栄養士のための食育資格といえます。
「食育基本法」を背景に食育栄養インストラクターが生まれた
「食育基本法」の成立を背景に作られたのが食育栄養インストラクターです。
「食育基本法」とは、平成17年に農林水産省より施行された法律を指します。
食育基本法の目的は、食育の推進をとおして国民が各ライフステージ毎に心身ともに健康でいられること、「豊かな人間性」を身につけることにあります。
食育基本法における食育の定義は、以下の通りです。
① 生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎と なるべきもの
② 様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択す る力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を 育てること
◆引用元:農林水産省「食育の推進に向けて」
食育栄養インストラクターの資格を活かせる職場
栄養士・管理栄養士の活躍場所として、食育に関わる業界や分野は広くあります。
保育園や学校、病院、介護施設、福祉施設(乳児院や児童養護施設など)といった職場では食育を取り入れたプログラムや栄養管理、栄養指導が多く行われています。
そのため、上記のような施設で食育栄養インストラクターの資格は活用できるでしょう。
食育指導が求められる歯科医院でも、資格は活用可能です。
子どもたちに食育のことを教えたり、介護食の指導をしたり、訪問診療をしたりといった仕事があります。
そのほか、食育に関するコンテンツを提供するメディアでライターとして活躍できる道も。
食育の専門家を求めるイベント会社、社員食堂、料理教室もあるため、そのような場所への就職を考えている人は、採用時に資格が有利に働く可能性もあります。
栄養士・管理栄養士として食育の分野に特化した施設や職場で働きたい人は、就職の際に資格が強いアピール材料になるでしょう。
食育栄養インストラクター取得に必要な条件3つ
食育栄養インストラクターを取得するには、まず各養成施設で「食育栄養インストラクター資格認定制度」を受ける必要があります。
その後、食育栄養インストラクターの認定に必要な授業科目を修了します。
科目修了後に「社団法人全国栄養士養成施設協会」が主催する「栄養士実力認定試験」で「認定証A」に値する成績を修めたら、主催元の協議会に資格認定証交付の申し込みをしましょう。
なお、認定申請にかかる費用は2,000円です。
養成施設の卒業が確定したら、主催元の協議会から資格取得の認定証が送付されます。
つまり、資格取得には、
・主催元の協議会が指定する養成施設の学生あるいは卒業生であること
・食育栄養インストラクター資格取得のための授業を修了していること
・栄養士実力認定試験で認定証Aをもらうこと
以上の3つの要件を満たす必要があるのです。
全国栄養士養成専門学校協議会の養成校はこちらから確認できます。
栄養士実力認定試験の詳細をチェックしたい人は以下の記事もご覧ください。
資格取得に必要な授業一覧
養成施設で修了するべき授業は以下のとおりです。
食育
食生活と文化
食の安心・安全と衛生
食品の選択と特性
栄養の特性と管理
食(調理)と心理
フードシステム(食料・環境問題)
食育実践
◆引用元:全国栄養士養成専門学校協議会「食育栄養インストラクター」
食育“栄養”インストラクターと食育インストラクターとの違い
食育栄養インストラクターと名前が似た資格で「食育インストラクター」という資格もあります。
食育インストラクターは、「NPO日本食育インストラクター協会」を認定元とする食育資格で、食育栄養インストラクターと同様に民間資格です。
違いとしては、食育インストラクターは「プライマリー」から「1級」までの段階があることや、「プライマリー」から取得した場合、最上級である1級の取得に必ずしも栄養士養成学校の在籍・卒業を必要としないことなどがあり、食育栄養インストラクターよりもやや間口が広いです。
ただし、どちらも栄養士・管理栄養士をはじめとした食の国家資格の所持者を対象としているため、一概にはどちらがいいということもありません。
また、資格取得のための研修の期間やそれまでかかる費用も異なるため、自分のスキルやこれからのキャリアプランに合った方を選ぶのが肝心です。
食育インストラクターについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。
まとめ
食育栄養インストラクターの資格について、取得方法や活用できる職場を紹介してきました。
食育に関する資格はまだまだたくさんあります。
食育の分野で活躍したい栄養士・管理栄養士は、選択肢のひとつとして食育栄養インストラクターを検討してみてはいかがでしょうか?
参考文献・サイト
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