「介護食」。
嚥下機能の低下で食べ物を上手に噛んだり飲み込めなくなってしまった高齢者のために、食べやすさや味付け、栄養バランスを考慮して作られる食事を指します。
介護や医療の業界に勤めている管理栄養士さんにとっては、馴染み深いものですよね。
少子高齢化が進んでいる現代日本において、介護食の需要はこれからますます高まっていくでしょう。
そのときに介護食についての専門資格を持っていたら、自分のできることや可能性がぐっと広がると思いませんか?
今回は介護食づくりのスキルアップに役立つ、「介護食アドバイザー」の資格を紹介します。
目次
介護食アドバイザーとは
介護食アドバイザーは「日本能力開発推進協会(JADP)」が認定する民間資格です。
高齢者の心理や生理機能を考慮しながら、栄養バランスの取れた安全な介護食レシピをつくれることを証明します。
介護食レシピや高齢者に必要な栄養量、食べやすい調理のコツといった知識やスキルを総合的に学びます。具体的なレシピだけでなく「どうしてその献立がいいのか?」まで理論立てて考えられるようになるため、応用のきく実践的な資格であると言えますね。
なおかつ高齢者に関する知識も総合的に得られるため、介護・福祉関連の現場で強みになります。
特に老人保険施設や保健所・支援センターなどでは、介護食に対するアドバイスをできる人材が強く求められています。そうした職場へ転職する際には、有資格者であることがメリットとなるでしょう。
資格の取り方
介護食アドバイザーの資格を取得するためには、協会の認定する介護食アドバイザー資格取得講座を受講したのち、資格試験に合格する必要があります。
講座はおよそ4カ月~半年間で受けられる通信制のもので、働きながらでも勉強できるのが大きな特徴です。
講座・試験の概要 | |
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講座のカリキュラム | ・高齢者の心理 ・栄養学の基礎知識 ・介護食の基礎知識 ・高齢期の病気と食生活 上記の範囲を認定教育機関で履修する。 |
受講条件 | 誰でも受講可。 |
資格試験の申し込み | 認定教育機関での全カリキュラムを修了後、協会ホームページの「検定試験申込」にて、必要記載事項を入力。 その後、認定校の教材に同封されている振込用紙を使って受験料を支払う。 |
試験日時・会場 | 自宅で受験可。 講座の修了、検定試験申し込み、受験料支払いが確認されると、協会から試験問題が送付される。 |
受験料 | 税込み5600円 |
合否判定 | 正答率70%以上で合格。結果は答案受付後、1カ月で送付される。 |
介護食士との違いは?
介護食の専門資格としてもうひとつ、「介護食士」というものがあります。
介護食士は「公益社団法人 全国調理職業訓練協会」が認定する民間資格で、介護に携わる人の調理技術を向上させることを目的に設けられた資格制度です。1~3までの階級が用意されています。
取得に関するメリットや強みはどちらも通じる部分がありますが、介護食士と介護食アドバイザーの大きな違いは「資格取得のプロセス」にあると言えるでしょう。
介護食士2級・3級であれば自宅で介護をしている人でも受けられますが、1級を受験する場合には2年以上の介護の実務経験が必要。つまり介護職であることが前提となる資格なのです。
一方、介護食アドバイザーは誰でも受験することができます。通信講座で働きながら勉強することも可能なので、比較的短時間で介護食に関する知識をマスターすることができます。
スキルアップを志す管理栄養士さんなら、取得しておいて損のない資格ですね!
編集者より
介護食アドバイザーは民間資格。持っているだけで待遇が劇的によくなる……ということは、残念ながらありません。
しかし、これから高齢者が増えていく日本において、介護食に通じた管理栄養士は間違いなく重宝されるようになるでしょう。
ご自身のスキルアップ、そして働ける場所の選択肢を広げるためにも、ぜひ取得してみてはいかがでしょうか?
参考文献・サイト
- かいごGarden「介護食士と介護食アドバイザー、どちらが役立つ?」(2018/09/10)
- 一般財団法人 日本能力開発推進協会「介護食アドバイザー」(2019/03/08)
- タイプ別!役立つ資格一覧「介護食アドバイザー」(2019/03/08)
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