取材・インタビュー

「子どもとの時間が大切な業務」社福から株式の保育園に転職した現役栄養士が語る理想の職場の見つけ方

保育園 管理栄養士 取材 インタビュー みんなの食場

保育園や幼稚園、認定こども園など、子どもの心身の健康づくりの基礎となる場所での就業を希望する栄養士・管理栄養士は多いですよね。

田中友梨さん(仮名)は「周りにあまり子どもがいなかったことも手伝って、子どもの成長や発達を支えることに興味を覚えた」との理由から、保育園で働く管理栄養士に。

転職も経験したうえで「現在の職場は働きやすい」と語る田中さんに、前職の保育園でのお話も含めて、仕事内容や待遇、就業環境について話していただきました。

保育園 栄養士 取材

田中友梨(20代)※仮名
4年制大学で管理栄養士の資格を取得。大学時代に子どもに興味を持ち始め、新卒で就職した社会福祉法人経営の保育園で勤務。その後、現在の職場である株式会社運営の保育園に転職。

シリーズ「みんなの食場」とは
さまざまな職場の栄養士さんに聞く取材シリーズ。
人間関係・働き方・やりがいなど、中の人だけが知ってる「ホントのところ」をこっそり教えてもらいます。

保育園への就職理由は「未来ある子どもたちのため」

---まずは、栄養士を目指したきっかけからお聞きしてもいいですか?

田中:
はい。管理栄養士を目指したのは、高校生のときでした。
「大学に行って何を勉強しようかな?」と思ったとき、総合大学に行ってからやりたいことを見つけるより、高校生の時点で決めてしまいたいと思ったんです。

そこで、以前から食べることやダイエットに関心があったので、食に携わる管理栄養士の資格を取ることにしました。

---もともと食べることや栄養に興味があった、と。

田中:
そうですね。食べることと、ダイエットに興味がありました。
ただ、大学時代まで実家暮らしだったこともあって料理はする機会が少なくて、そんなに得意じゃなかったです(笑)。

---大学での専攻などは何でしたか?

田中:
ゼミに所属して、地域の子どもたちと関わったり、区民センターでの交流イベントを手伝ったり、子どもたちの保護者を対象にしたお弁当講座を開いたりしました。

---現在保育園にお勤めですが、このときの体験がきっかけになった形ですか?

田中:
そうですね。保育園を就職先に選んだのはゼミの経験がきっかけだと思います。

大学3年次の実習で保育園・病院・行政に行ったんですが、ゼミで子どもと関わったり、子どもの栄養に関することを勉強したりしていたので「やっぱり保育だなあ」と。

---田中さんのなかで、そこまで強く「保育に関わりたい」と思った理由はなんだったのでしょう?

田中:
未来ある子どもたちに食べる楽しさや命の大切さを伝えたいからです。

私の場合は「これからの未来を支えていく子どもたちのために、自分にできることをしてあげたい」と思ったことが一番の理由でした。

食事の様子を見に行くことや子どもと会話をすることも保育園の栄養士に欠かせない仕事!

---現在お勤めの保育園での1日のスケジュールを教えて頂けますか?

田中:
定時は8時~17時で、1日の業務の流れはこんな感じです。

8:00 出勤
前日の延長保育で使った食器の片付け
調理室の清掃
園児用のお茶づくり
9:00 野菜の下処理など昼食の準備
離乳食の準備
1・2歳児クラスの朝おやつを用意
事務仕事・献立作成
10:30 1・2歳児クラスから順に昼食準備
検食
11:00~12:30 昼食の提供開始
各自取れる人から昼休憩
12:30 翌日の納品作業、業者対応
食器の片付け
13:00 昼礼(保育士・栄養士・園長)
調理室の栄養士は午後おやつの準備
14:30~15:00 検食
午後おやつの提供
食べている様子を見に行き声がけ
翌日の業務の打ち合わせ
事務仕事
15:30 午後おやつ終了
食器の片付け
調理室の清掃
事務仕事
16:00 延長保育用の補食づくり
事務仕事
17:00 退勤

田中:
現在の職場は私を入れて栄養士が3人いるため、一人が食育活動などの場に出て、残りの人たちは調理室で仕事をするなど、うまく調整しながら交代で業務を回しています。

どこの保育園もそうだと思うんですが、やっぱり一番忙しいのは昼食前後の時間帯ですね。午前中に事務仕事や献立作成の業務を行うことはありますが、昼食の準備の方が優先です。

---となると、事務仕事はいつごろしているんでしょうか?

田中:
昼礼後は時間に余裕ができやすいので、その時間帯です。
さっきも言ったように、うちは栄養士が3人いるので、交代でお昼を取ったり、業務を回したりしています。

昼礼には各クラスの先生たちと園長先生、栄養士が集まって、午前中の園内の動きや園児の様子などの情報を共有し合うんですが、栄養士は一人出席すればいいので、残った人たちが午後おやつの準備や事務仕事を担当している、という感じです。

---子どもたちの食事の様子を見に行くことはありますか?

田中:
積極的に見に行ってます。
時間帯的に余裕があるのは昼食よりも午後おやつの時間ですね。

子どもたちに直接声をかけたり、会話をしたりして、交流する時間を設けることは、自分の中の大切な業務の一環です。

保育園 栄養士 仕事

本当は全部のクラスに行きたいんですが、時間がないときもあるので、回れるクラスから回ったり、食事に関して気になる園児がいるクラスから行ったりなどして様子を見てます。

たまに保育士さんと一緒になって、食べさせるのを手伝うこともありますね!

---保育士さんと協力する場面は普段から多いのですか?

田中:
保育士さんとの協働はやはり多いです。
普段の園児の様子を共有し合うことはもちろん、保育士さんから「明日は年長のクラスで外遊びの時間を長くしたいから、昼食の時間を調整してほしい」とか「●●ちゃんの食事量を調整して欲しい」という具体的な要望をもらうこともあります。

---実施している食育活動はどのようなものがありますか?

田中:
日々の給食のなかで「絵本メニュー」を提供しています。

絵本の中に出てきたパンケーキやパンなどのメニューを再現したり、「さっき読んだお野菜の絵本の中に出てきた大根さんだよ」といって味噌汁を出したりなど、子どもたちが読んだ絵本の中の食事を作ることで、食べることや食事に興味を持ってもらうことがねらいです。

---そのような取り組みは田中さんや栄養士さんが中心に考えるのでしょうか?

保育士さんと一緒に食育計画を立てることもありますよ。栄養士側から食育活動について提案することもありますし、保育士さん側から提案してくれることもありますね。

保育園の就職後に苦労したのは料理・アレルギー・離乳食

---実際に働き始めて、もっと勉強する必要があると感じたことはありますか?

田中:
料理・アレルギーの知識・離乳食など赤ちゃんの食事ですね。

最初に言ったとおり、料理に関しては実家暮らしという理由もあり、実践する機会が少なかったので新人のころは苦労しました。大学でも調理実習の時間は少なかったですし……。

調理の技術が業務に追いつかないこともあったので、慣れは必要でしたね。

---「勉強が必要」と感じた点として、ほかにもアレルギーの知識を挙げていらっしゃいましたが……。

田中:
はい。調理実習の時間が少なかったこととも通じるんですが、大学って概説的な授業は多いものの、専門的な知識を学ぶ授業や実践的な授業は少ないんですよね。

なので「アレルギー」の知識に関してもくわしく勉強できる機会があまりなく……。

概説としては習いましたが、その後は自分で学ぶ必要がありました。

---なるほど。アレルギーの知識って、保育園で働く栄養士さんには重要ですよね。

田中:
そうなんです! 子どもの食に関わる保育園では絶対に欠かせないことなのに、学校では深く学べなかったので、研修会や勉強会に行ってアレルギーの知識をつけていました。

幸い、うちの職場は研修会・勉強会への参加を残業としてつけることができ、職場の人に相談すれば勤務時間中に行くことも可能なので、職場の人と協力しつつどうにか知識をつけていっています。

---研修会・勉強会への参加は残業に換算されない職場もあると聞くので、環境に恵まれたのですね。離乳食関連の知識もアレルギーと同じく、大学で学び切れなかったことがきっかけですか?

田中:
そうです。離乳食や幼児食なども大学で学ぶ機会が少なかったので、いざ就職してからは離乳食の作り方や知識がわからず、大変でした。

なので、アレルギーの知識の勉強と同様に、研修会や勉強会に参加したり、本を読んだり、あとは資格も取ったりして対応していきました。

社会福祉法人と株式会社経営の違いは大企業とベンチャー企業のイメージに近い!?

---ところで、田中さんは転職していますよね? 転職を決めた理由はなんだったのでしょうか。

田中:
ひとつには、労働環境が挙げられます。

今の株式会社経営の保育園は45人程度の園児を預かっているんですが、前職の社会福祉法人経営の保育園では120人ぐらい園児がいたんですね。

大規模だったので、やっぱりすごく忙しかったんです。書類作成も大量にあったので時間が間に合わなかったり、サービス残業も多く発生したりしてました。

それと、設備が古かったので業務上の不便も多く……。
調理道具が古くて作りたくても作れない献立があったり、調理室の掃除が多く発生したりなど、設備の不便さが問題で付帯業務もあったんです。

---業務を効率化できるような新しい取り組みやソフトの導入なども厳しかったのですか?

田中:
実は、私が転職を決めた一番の理由は人間関係だったんですが、組織自体が古かったので、業務効率化のために何か新しいことをしたくても、そういう取り組みを受け入れてくれる人がいなかったんですよね。

「昔からこうだから」的な理由で制約されていることも多く、自由度が低い環境でした。

私自身としては、子どもたちと触れ合いながらじっくり仕事をしたかったのですが、前の環境ではそういう時間を持つことも許されなくて。

子どもに話しかけていると「話しかけている時間があったら調理室手伝って」といわれるような環境だったので、段々精神的にもキツくなってしまったんです。

---確かにその環境は辛かったですね……。

田中:
正直、お給料の面でいえば、株式会社経営よりも社会福祉法人経営の方が待遇はよいのですが、私はお給料よりも自分のやりたい仕事ができて、自分の時間も取れる環境を選びました。

結果として、今は本当に仕事がしやすい職場で働けていると思っています。

---経営元が異なるふたつの職場を経験してみて、どちらにもメリット・デメリットはあると思うのですが、田中さんから見てそのあたりはいかがですか?

田中:
株式会社経営の保育園は比較的新しいところが多いので、たとえていうと、ベンチャー企業のようだなと思います。

若い職員が多いので新しいことが提案しやすいですし、「みんなで一緒に職場を作っていこう」という雰囲気があります。

今の職場の園長とは距離も近いので話しやすいですし、同僚の栄養士とも協力しながら仕事ができているので、縦横のつながりが良好になりました。

設備もきれいで新しいものが多いので、若い人にはやりやすい業務環境が整っているかもしれません。

ただし、いわゆるベテラン的なポジションの栄養士や調理師がいないことも多く、業務で引っ張っていってくれるような心強い存在がいないのは不安でもありますね……。

ベテランの方がいないことによって相談したり指導してもらったりする機会が少なくなる点は、デメリットかと思います。

---前職の社会福祉法人の保育園はどうですか?

田中:
社会福祉法人経営の保育園は、いわば大企業的だと思います。

ベテランさんもたくさんいるし、社内制度やルールも整ってますし、業務フローが確立されていることも多いです。

でも、さきほどいったように自由度は低め。

新しいことに挑戦するにはなかなか難しいこともあるので、自分で考えて業務をいちから作っていきたい人や新しいアイディアを積極的に考えて実現したいような人には少し物足りないかもしれません。

どちらにもどちらのよさはありますので、自分に合った方の環境を選ぶことが大切かなと思います。

サービス残業もあった前職と比べ、現職の残業は月に3~4時間に!

---前職ではサービス残業などもあったとのことですが、現在の職場ではいかがですか?

田中:
今の職場ではそんなことはありません!
残業した分の給与は支給されますし、残業自体も月に3~4時間程度です。

---かなり少ないですね!発生するとしたらどのような理由ですか?

田中:
定時が17時なんですが、18時前後の時間に職員会議が入ったときですね。

あとは、業務時間内に研修会に参加して、終了が遅くなってしまったときなど。
不定期ですが、アレルギー児の保護者さんと面談が入るときもあります。以前よりもかなり働きやすくなりました。

---そうですよね。お休みに関してはいかがですか?

田中:
お休みはカレンダー通りなので、土日祝日休みの完全週休二日制です。
とはいえ、シフト制なので土曜出勤は月に数回あるのですが、必ず振り替えでお休みが取れるため負担にはなっていません。

また、夏季休暇も3日間取れるのと、年末年始休暇もあるので、総合すると120日はお休みが取れています。

---保育園だと園の行事やイベントがあると思いますが、栄養士さんもそれに合わせて出勤することはありますか?

田中:
運動会とか生活発表会、保護者懇談会などに合わせて出勤することもあります。その場合も振り替えで、土曜出勤とは別にお休みは取れますよ。

栄養士にはPCありきな業務も多々あり!PCスキルの習得は学生のうちに

---田中さんのように子どもたちのために働きたいと考えている学生に向けて、就職にあたってのアドバイスを頂きたいです。

田中:
やっぱり、保育に関連する参考書籍は買っておいたほうがいいと思います。

私のように就職してからアレルギー園児への対応で困る人は結構いると思うので「ちょっと触れたけど、深く知っておかないと困りそう」と思った授業があれば、専門的な本を読んで予習しておくことがオススメです。

それか、資格を取るという手段もありますね。

---さきほど離乳食の知識を得るために資格を取ったとおっしゃっていましたが、田中さんはどんな資格を取ったのですか?

田中:
「ベビーフードコンサルタント」という資格です。離乳食や幼児食の作り方や知識をいちから学べるものですね。

---資格を取ったことが役立った場面ってありましたか?

田中:
離乳食面談やアレルギー面談など、保護者の方に対応するとき、ベビーフードコンサルタントで培った知識が面談の前提知識となって役立ちました。

アレルギーのことは保護者も保育士も詳しいことがわからないことが多く、疑問や不安にぶつかりがちな問題なので、そういった声に応えられるようになった点も取得してよかったと思う点です。

保育士さんへの業務連絡もスムーズになりましたし、園児たちの情報共有にも貢献できていますし。

---そのほかに、学生さんに向けて「こういうことはやっておいた方がいい!」というアドバイスはありますか?

田中:
意外と大事な点だと思うんですが、PCスキルはあった方が絶対にいいです。

食育計画表やおたよりの作成、発注書の作成、栄養価の計算など、栄養士はExcelやWordなどのオフィスソフトを使う機会が多いので、最低限使えたら業務に支障もきたさないと思います。

あと、メールを打つ機会も少なくないので、タイピングとかPCの一般的な知識や操作全般は身につけておいた方が後々苦労しないのではないでしょうか。

栄養士でも「子どもが好き」は大前提! 保育園には子どもの気持ちに寄り添える栄養士が必要

---子どもたちのために栄養士として保育園で働く選択をなさった田中さんですが、保育園勤務が向いているのはどのような人だと思いますか?

田中:
やっぱり子どもが好きな人だと思います!

前職で子どもと触れ合う時間が取れなかったからこそ思うんですが、保育園は子どもたちのための仕事をする場所。

だからこそ、栄養士も子どもと同じ目線で接することが大切です。

子どもが好きで、子どもの言葉を受け取めて、その気持ちに寄り添える力は必要だと思います。

---なるほど。

田中:
栄養士にしても保育士さんにしても、やっぱり子どもが好きな人の方が「今度こういうことやらない?」とか、新しい仕事のアイデアも出てきやすいですし、子ども好きな人同士だと意見交換もしやすい。

子ども目線に立った仕事をするためには、「子どもが好き」は大前提ですね。

子どもが好きで、仕事をアップグレードしていくためにも周囲の人に積極的に声をかけられる人なら、きっと保育園での仕事は楽しくできると思います。

まとめ

保育園をはじめ、介護や病院といった施設は、経営元が違うと職場環境も大きく異なることがあります。
また、人によって働きやすい環境や条件は違います。

積極的に自分から仕事を動かしていく方法で仕事がしたいか? 
それとも、ある程度決まったルールに則って仕事をこなしていきたいか? 
最低限求める給与水準はどれぐらいか? 

など、就職したい施設の労働環境や待遇の確認や経営元が異なる各職場のメリット・デメリットは比較検討することが大切です。

現在の田中さんのように、自分の理想的な職場で働きたいという人は、よくチェックしてみてくださいね。

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取材内容はあくまで一例です。施設によって仕事内容や待遇は異なりますのでご了承ください。

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