保育園で働く栄養士のみなさん、こんにちは!
約8年半、保育園の栄養士として勤務していたライターの「海」です。
保育園といえば、今年になって8年ぶりに「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」が改訂されましたが、アレルギー児の給食対応はもはや必須の業務といっても過言ではありません。
私も園に勤めていたときには、毎日園児達に200人以上の給食を提供する中で、20人ほどいたアレルギー児に除去食などの対応もしていました。
そこで、今回は私が勤めていた園でのアレルギー児対応について、受け入れ準備から調理室の1日、さらに事故の起こりやすい注意すべき場面までを紹介します。
目次
アレルギー児が入園してからの流れ
保育園の入園時には、保護者と保育士さんとの面談が行われますが、その際にお子さんにアレルギーがあると申告があった場合に、まずは栄養士と保護者で面談を行います。
まずは保護者との面接から
アレルギーのあるお子さんは医師の診断書を持参してもらい、さらに保護者の方とお子さんの話を詳しく聞きます。
例えば、小麦粉アレルギーがある子なら、「しょう油などの加工品は大丈夫」、「小麦粉のおやつ」がダメなど、どこまで食べれるのか詳しく話を聞いていきます。
また、万が一アレルギーの食品を食べてしまった時の対応も確認すべきだと思います。
お子さんのかかりつけ病院を把握しておくことも大切です。
献立について
つぎに、自園の献立の説明をして「小麦粉ならここに使っている」など成分表で確認します。その後は、自宅に持ち帰って除去して欲しいものにチェックをしてもらい、保育園側もチェックしておきます(加工品は成分表に乗らないので忘れないように!)。
この時、調理室の調理従事者にも確認できればなお良しです。
後日、改めて面接の日を決めてお互いのチェックを照らし合わせながら抜けているところがないかなどを確認していきます。クラス担任・主任を交えて面接することもありました。
ただし全員と面接をするのは難しかったので、特に重度のお子さんや面接を希望する保護者の方と優先的に面接を行いました。面接なしの方は献立のチェックを持参してもらい、調理従事者と確認します。
面接後の現場での対応
面接が終わり、献立のチェックも済むと調理室にそのチェック表の原本を保存し、事務所、クラスにコピーを渡して周知を図っていました。調理室にもコピーをしてミーティングの時に知らせます。
調理室の1日の流れ
ここからは、実際に園児達が園に通いはじめてからの調理室の1日を紹介します。
朝のミーティングでしっかりチェック
朝、ミーティングの時にアレルギー児のチェックをします。「何を除去し、代替えにするか」などを調理室のメンバーに周知します。
重度の子どもは、おかずやパンなど持参することもあり、その場合は登園の時に食品を預かり、冷蔵庫で保管するようにしていました。
専用のトレーと名札を準備
出席人数の連絡が園の事務所から入る時に、アレルギー児の出欠も確認。
出席の場合、アレルギー児専用のトレー(通常の色とは異なる色)・名札を用意しクラスの配膳の棚に準備しておきます。
除去食がない場合でも、「なし」と書いた名札を用意して、必ずトレーと名札がセットである状態にしておくのが吉。
除去食があるにもかかわらず、トレーだけが違う場所に置かれていて配膳時に「除去食がない」と勘違いしたことがあったため、誰が見てもわかるように改善しました。
調理法はしっかり事前の確認を
取り分け式の場合や一から作る場合など、除去食の調理法は毎日違うのでミーティングでの確認はとても大事です。
例えば取り分け式では、牛乳除去の子どもの食事を作る時に大釜である程度調理後、牛乳を入れる前に小鍋に取り、コンロで別に調理して味付けをする必要があります。
担当者同士の声かけが重要
アレルギー食を提供する時には、取り違えなどを防ぐため担当者同士の声かけが重要になります。
調理室から出る時には調理従事者にわかるように、「アレルギーの◯◯さんの持っていきます」などと声を出し、クラスに着いたら必ずクラス担任に声かけを怠らず「今日は、◯◯さん除去食です。よろしくお願いします!」と伝えていました。
私は、前日にクラス担任に「明日は除去食ですね!◯◯さんのおやつの時に気をつけましょう!」などと、保育士さんとも普段からコミュニケーションをとり、意識しあえるように声かけをしてミスを防いでいました。
経験者が語る「アレルギー児対応食」のヒヤリ・ハット集
アレルギー児の対応は、間違いがあってはいけません。
しかし、複数の人が関わる保育園の給食提供では、ヒヤリとする場面や「気をつけなければ」と感じさせる場面に何度も出会いました。
そこで、私の経験から「ヒヤリ・ハット集」として紹介したいと思います。
①職員勤務が変則的な土曜日
担任が交代で休むことがあったり、別の保育士さんがクラスに入ったり合同になることがあるため、情報共有ができていない場合がある
②パートさん、担任以外の保育士さんが勤務の時(担任が休み、出張など)
給食を配るだけで保育士さんが一生懸命のことが多いので、声かけを怠らないことが大切
③新人・体験学習など慣れていない人が来て気をとられている時
外部の人が来てバタバタすると、いつもできていることでもできなくなりがち
④初めての献立の時
通常の献立では把握していることが、初めてのメニューでは何が入っているか把握できないことも
⑤職員が揃っていない時間帯の朝や夕方
朝のおやつや延長保育のおやつなどは園児達のお迎え時間と重なるため、クラス担当の保育士さんが保護者対応中で別の保育士さんが配膳の対応する場合があるので注意が必要
⑥おかわりの時
おかわりがあるときに、よく食べる子の時はアレルギー用のものを少し多めに用意しておく。保育士さんが間違えてみんなと同じものをあげてしまうことがある
⑦低月齢の子ども
低月齢児は隣の子のものを食べたり、隣の子が落ちたものを食べたりすることがあるので、アレルギー児と他のグループの机を離して保育士さんがその子についたまま食べることも
⑧加工品の落とし穴(品質改良などによる原材料の変更)
いつも使う加工食品で、例えばパッケージに「リニューアル!」と書いてあり、原材料をみるとアレルギー成分が追加されていたことがあったので、毎回納品の時に内容を確認していた
⑨行事食
行事については、なるべく混乱のないように全員が食べられる献立を作成してたが、難しい時は特に声かけなど特に気をつけた。また、食事場所がクラスではなく、ホールや外などで食べることもあったので注意が必要
⑩縦割り保育
クラスが年少・年中・年長と混じるので報告・連絡・相談を徹底していた
1ヶ月ごとにフィードバック会議を開催
1ヶ月の中で反省があれば次に活かします。
自園では、施設長、主任、保育士、栄養士が集まって、給食を食べてもらって1ヶ月どうだったかというフィードバックを行う会議が開かれていました。
その時にアレルギー児の食べ残しの有無や問題を出して解決方法を議論することもありました。
また、私が勤めた保育園では年に1回、保護者にお子さんの再受診をお願いして、アレルギーの最新の状態を把握できるようにしていました。
まとめ
アレルギーの対応については、周知徹底、職員の意識、確認を怠らないが原則です。
何かひとつが欠けても大変なことになりかねません。
私自身、長年の経験から「声出し確認」はとても気をつけて行っていました。
施設によっては、調理室と保育室の関係が良くなかったり、栄養士の重要さを理解してもらえないこともあると思いますが、子どもの命に関わることなので上司等としっかり相談し、調理室の栄養士の代表としてより良いパイプ役となれるようにしていきたいですね。
今回は私の経験した対応方法を紹介しましたが、それぞれの施設にあったやり方の中で参考になれば幸いです。
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