2016年10月から都道府県知事等への届出が開始された「健康サポート薬局制度」という制度をご存じですか?
この制度は、薬局が「地域住民の身近な存在として健康の維持・増進に関する相談を幅広く受け付け」たり、「率先して地域住民の健康サポートを実施」したりすることを認可したもの。処方箋のない人にも適用されるサービスです。
つまり、これからの薬局は地域住民の健康を支える拠点となる役割を担っているといえます。
その一環として、管理栄養士の配置が挙げられます。
いまや管理栄養士は「薬局管理栄養士」として、全国の薬局に求められるようになっているのです。
そこでこの記事では、薬局管理栄養士についてその仕事内容を中心に紹介します。
目次
薬局管理栄養士とは?主な仕事は栄養指導と店舗業務
薬局管理栄養士の主な仕事は、地域住民やお客さまへの栄養指導と栄養相談です。
「病気ではないけれどなんとなく調子が悪い」といった未病に関する悩みをもったお客さまに食や運動の面からアドバイスを行ったり、体脂肪や筋肉量、血圧などを測る健康測定に則った栄養指導をしたりします。
さまざまな商品を扱う薬局では健康食品や食品も陳列されているため、店内の商品を紹介しつつ栄養相談に応じることも。
地域住民やお客さまへの栄養指導・栄養相談は、店舗内にとどまりません。
単独で訪問栄養指導を依頼されることもあれば、薬剤師の訪問サービスに補助係として同伴することもあります。
地域住民や薬局職員に向けた栄養関連のイベント(レシピ考案や試飲試食など)を企画し、実行するのも薬局管理栄養士の仕事のひとつ。
また、薬局管理栄養士ならではの特徴として、店舗の従業員としての業務を担当することも挙げられます。
接客や受付、レジ、店内のPOP制作、品出し、事務作業、調剤薬局事務のサポートなど、店舗全体の運営と営業に関わる必要もあるのです。
需要は高い?薬局に管理栄養士が求められるワケ
健康サポート薬局制度が導入されたことで、処方箋の有無を問わず、薬局には地域住民に対する健康サポートを担う必要が生じてきました。
このため、制度の導入に参画している企業としては、管理栄養士の採用と配置に対する意欲が高いでしょう。
例えば、糖尿病の予防・重症化の予防を目的に、診療所や行政から栄養指導を依頼される薬局もあります。
このような連携機関からの要請に応えるべく、管理栄養士の登用を推し進めている企業もあるようです。
また、病院や介護施設は病気を発症した後に利用する場所ですが、薬局は病気になる前段階から健康支援ができる場所。
健康意識の高い地域住民やお客さまにとっては「いつでも気軽に健康の相談や栄養の相談ができる」というニーズもあるでしょう。
管理栄養士の登用が、病気の予防や健康維持に関心のある地域住民やお客さまの集客率やリピート率、来店数の増加を招くことも考えられ、今後薬局管理栄養士が薬局やドラッグストアが差異化するためのカギになる可能性もあります。
求人形態は多様!新卒で薬局管理栄養士を目指す人も
薬局管理栄養士の求人は、新卒・中途入社・契約社員・パート(アルバイト)と、入り口が幅広いのが特徴です。
とはいえ、薬局管理栄養士という職種自体が新しいことから、なかなかその仕事に就いた理由やキャリアプランなどは想像しにくいのではないでしょうか。
ここからは、薬局管理栄養士になった人たちの例を紹介します。
どうして薬局・ドラッグストアに?先輩管理栄養士のやりがいとは
新卒社員の志望動機として、「病気の発症前の段階で栄養指導を行えたり、生活習慣のアドバイスができたりする点に魅力を感じた」という傾向は比較的高いようです。
老若男女問わず、健康な人や不調を感じている人の日常生活に関われる点に興味をもった、という人も。
核家族化や地域住民同士の助け合いが難しくなっている社会背景もあり、「離乳食や介護食の作り方がわからず、頼れる人が近くにいない」という悩みをもった保護者や介護者の支援にやりがいを見出した人もいます。
未病の改善や病気の予防、日頃の健康維持サポートなど、地域住民やお客さまの日常生活に関わることに興味がある人は、薬局勤務が向いているかもしれません。
薬局管理栄養士のキャリアプランとは?
新卒入社の薬局管理栄養士のキャリアプランは企業や配属部門(部署)によってさまざまですが、一例を紹介しましょう。
まずは店舗スタッフの一員として、店舗における基礎業務の習得をキャリアの第一歩としている企業が多く見られます。
薬局とひとくちに言っても、路面店や併設店、大型店など、店舗形態は多様。さまざまな店舗への異動経験を積み重ねることで、管理栄養士のスキルアップを図る企業もあるようです。
その後のキャリアプランとしては、副店長・店長に昇進する道もあります。
配属された部門の責任者を目指したり、管理栄養士を束ねる教育係としてリーダー職にステップアップしたりすることも可能です。
どこの薬局に就職するにしても、最初は店舗で実務経験を経る必要があるのが基本ですが、その後のキャリアプランや目標は自分で決められる企業もあるようです。
「薬局管理栄養士研究会」で勉強&交流の機会を作ろう!
2017年度末時点の全国の薬局数は5万9,000軒以上にのぼっており、その数は年々上昇しています。
薬局の数自体は増えているなか、薬局管理栄養士の数は全国的に見てもまだまだ少ないのが現状です。
そこで、自己研鑽の機会に恵まれなかったり、「仲間が少ないから業務内容を相談し合える人がいない」といった孤立状態に陥ったりしないためにも「薬局管理栄養士研究会」に参加してみてはいかがでしょうか。
薬局管理栄養士研究会は「城西大学・城西短期大学」の薬学部が主催する研究会。
薬局管理栄養士の情報交換や連携強化と交流を推進しており、講演会が定期的に行われています。
直近に開催された第13回目の研究会では、約230名と定員を大幅に超える出席者が集まったとのこと。
講演会では、専門家による研究・活動報告やパネルディスカッション、全国の薬局での取り組み発表などが行われます。
講演会への出席を通じ、薬局管理栄養士は業界の最新知識を得たり、技能を向上をしたりすることが可能です。
懇親会も設けられているため、同じ薬局栄養士の仲間を見つけることもできます。
薬局管理栄養士の数はまだまだ少ないため、いざというときに相談できたり、悩みを共有できたりする仲間の存在は大切です。
薬局管理栄養士同士で横の繋がりを強固にすることが、今後の業界の発展や薬局管理栄養士の増加につながるかもしれません。
まとめ
管理栄養士の養成施設に通っている人ならば、資格を取る過程でさまざまな職場に見学に行ったり、実習を受けに行ったりする機会がありますよね。
養成施設に通っておらずとも、管理栄養士の資格要件に必要な実務経験の習得のために施設や飲食店などで働いている人もいるでしょう。
しかし、「いまいちどの職場もピンとこないな」と思った人は、薬局で働く道を検討してみてはいかがでしょうか?
地域住民やお客さまの日常の健康相談に応じたい人、病気の予防に貢献したい人、イベント企画などをやってみたい人は、薬局の求人情報をチェックするのもひとつの手です!
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