管理栄養士として働く一方で、副業を考えている人もいるのではないでしょうか。管理栄養士の資格や経験を活かした副業であれば、強みを発揮しつつ収入を得ることができます。
この記事では、管理栄養士におすすめの副業や、副業の探し方、副業のメリット・デメリットのほか、副業を行う際の注意点について解説します。
【この記事でわかること】
●管理栄養士には、管理栄養士としての経験や知識が活かせる副業や在宅の副業が適している
●管理栄養士が副業を探すには、管理栄養士に特化した求人サイトやクラウドソーシングサービス・スキルシェアサービスを利用するとよい
●管理栄養士が副業を行う際には、就業規則を確認したり、ワークライフバランスを考慮したりするほか、確定申告にも注意が必要

管理栄養士の資格を活かして、さまざまな副業で収入アップやキャリアの幅を広げることができます。私の場合、副業を始めてフードコーディネータースクールに通ったり、マーケティングの学習をしたりしたほか、スタイリングに必要な食器類を購入するなど、自分のさらなる成長につながる好循環が生まれました。自分の可能性を広げるためにも、副業を経験することをおすすめします。
目次
管理栄養士に適した副業とは?
管理栄養士が副業する際には、自分のスキルや資格や経験を活かせる仕事を選ぶことが重要です。資格や経験を最大限に活用することで、収入を増やすことができます。まずは、管理栄養士に適した副業について解説します。
管理栄養士としての経験や知識が活かせる副業
管理栄養士の経験や知識を活かせる副業を選べば、強みを発揮することができます。専門的な知識を必要とする仕事であれば、年収500万〜700万円台の求人も少なくありません。また、栄養に関する専門知識を自分の得意分野や興味のある領域と組み合わせることで、より差別化された強みにもなるでしょう。
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在宅でできる副業
管理栄養士に適した副業として、在宅でできる仕事も挙げられます。在宅の副業であれば、通勤時間がかからず、スキマ時間を有効活用できます。夜間や週末など、自分のペースで仕事ができるのも大きなメリットです。また、パソコンだけで始められる仕事であれば、初期投資を抑えることもできるでしょう。
オンラインでのコミュニケーションツールが発達した現在では、場所を問わず仕事ができる環境が整っています。特にコロナ禍以降、リモートワークが一般的になり、在宅での副業の選択肢も広がっています。
おすすめの管理栄養士の副業6選
ここからは、管理栄養士の知識や経験を活かせるおすすめの副業を紹介します。自分の興味や得意分野、働き方の希望に合わせて、ぴったりの副業を探してみてください。
●特定保健指導業務
●栄養価計算
●ウェブ記事の執筆・監修
●美容・ダイエット関連のトレーナー
●レシピ考案
●家事代行
特定保健指導業務
特定保健指導は、管理栄養士が専門知識を活かして、生活習慣病の予防や改善をサポートできる重要な業務のひとつです。40〜74歳の方を対象に、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した「特定健康診査」の結果に基づいて指導を行います。管理栄養士は、食事内容や生活習慣を見直すためのアドバイスを提供し、必要に応じて運動面への助言も交えながら、継続的な支援やフォローアップを行います。近年では、オンラインでの指導機会も増えており、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が可能です。
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栄養価計算
栄養価計算は、食品や料理に含まれる栄養素の量を算出する業務です。具体的には、食品メーカーなどで商品の原材料から栄養価を計算したり、メニュー開発の際の栄養バランスをチェックしたりします。専門的な知識がないと正確な計算はできないため、管理栄養士の強みが活きる仕事だといえます。在宅で行えたり、短時間でできる仕事もあったりするため、スキマ時間を有効活用できることもあるでしょう。
ウェブ記事の執筆・監修
食品、健康、美容関連のウェブサイトでは、専門知識を持った管理栄養士による記事の執筆や監修が求められることがあります。栄養や食に関する正確な情報を提供するために、管理栄養士の知見が必要とされているのです。
また、自分の得意分野があれば、その分野に特化した記事を書くことで知名度を上げ、より高単価の案件を獲得しやすくなります。
美容・ダイエット関連のトレーナー
管理栄養士は食事面からのアプローチができるため、美容やダイエット関連のトレーナーとして活躍することも可能です。個別のカウンセリングを行ったり、目標や生活習慣に合わせた食事プランの提案を行ったりするほか、パーソナルトレーナーの資格も持っていれば、食事と運動の両面からサポートできるため、付加価値の高いサービスを提供できます。
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レシピ考案
管理栄養士の副業として、食品メーカーや飲食店、料理関連のメディアなどでのレシピ考案も挙げられます。低カロリー、高タンパク、グルテンフリーといった条件に合わせたレシピ開発や、特定の食材や商品を使ったレシピの提案、季節やイベントに合わせたメニュー開発などを行います。
家事代行
共働き家庭や高齢者世帯などに需要のある家事代行サービスも、管理栄養士におすすめの副業の1つです。特に料理については、食物アレルギーや特定の健康状態に配慮した食事の提供など、管理栄養士のスキルを活かせます。依頼者と直接関わるため、やりがいを感じやすい点が魅力である一方、時間や場所に制約があるため、本業と調整が必要になることもあるでしょう。
私は、本業で特定保健指導の運営会社で働く傍ら、副業として栄養価計算やウェブ記事執筆、監修コメント、レシピ開発、フードスタイリング、料理教室、試食販売、家事代行などを行ってきました。中でも特定保健指導、栄養価計算、レシピ開発、商品監修は、管理栄養士の資格が大いに活かせる副業だと実感しています。また、記事執筆、家事代行なども資格が強いアドバンテージになります。
私が副業に割いている時間は、平日2時間、休日5時間ほどです。平日は本業終了後にメール対応、記事執筆、レシピ案作成、請求書作成などの事務作業を行い、休日はレシピ試作と撮影、広告フードスタイリングなどの現場仕事をしています。
管理栄養士の副業の探し方
管理栄養士に適した副業を見つけるためには、効率的に探すことが重要です。ここでは、管理栄養士の副業を見つけるための具体的な方法を紹介します。
管理栄養士に特化した求人サイト
管理栄養士に特化した求人サイトを利用することで、自分の資格や経験が活かせる仕事を効率よく探すことができます。一般的な求人サイトでは見つからないような、専門性の高い仕事も多く掲載されており、業務委託や単発、スポットといった仕事を中心に探すとよいでしょう。
「栄養士のお仕事」では、管理栄養士・栄養士専門の求人サイトとして多くの仕事を扱っています。施設形態や資格、雇用形態などから、自分に合った仕事を探してみてください。
クラウドソーシングサービス・スキルシェアサービス
クラウドソーシングサービスとは、インターネット上で企業が個人などに業務を依頼するプラットフォームです。記事執筆や栄養計算、レシピ開発などの業務も掲載されており、自分に興味のあるキーワードで検索すれば、知識や経験を活かせる仕事を見つけられます。
スキルシェアサービスは、自分のスキルを商品として提供し、報酬を得ることができるサービスです。例えば、管理栄養士の知識を活かし、「管理栄養士による食事アドバイス」「ダイエット食のレシピ提案」などのサービスを提供することも可能です。
これらのサービスの強みは、場所や時間に縛られず、自分のペースで仕事ができることです。また、実績を積むことで評価が高まり、より良い条件の仕事を受注できるようになるかもしれません。初めは小さな案件から始めて、少しずつ実績と評価を積み上げていくことで、安定した副業収入につなげられるでしょう。
管理栄養士が副業を行うメリット・デメリット
副業を始める前には、そのメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。自分のライフスタイルや目標に合わせて、副業が適しているかどうかを判断しましょう。
管理栄養士が副業を行うメリット
管理栄養士が副業を行うメリットは、さまざまな経験を積むことができる点です。本業で経験することができなくても、副業を行うことで自分の経験を広げていくことができます。
また、異なる業界や分野での仕事を経験することで、新たな視点や知識を得られます。例えば、食品メーカーの商品開発に関わることで、市場のニーズや商品化のプロセスについても知ることができるかもしれません。こうした経験を積んで、それを本業で活かすこともできるでしょう。
もちろん、収入が増えることもメリットといえます。専門性を活かした仕事は比較的単価が高い傾向があるため、効率よく収入を増やすことができます。
私が副業を始めたときは、年間20万円ほどの収入アップでしたが、現在は年間100万~300万円にまで増やすことができました。ただし、300万円の年は、ほぼ休み無し、寝られない日もあるくらいハードでした…。
また、副業は収入アップだけでなく、キャリアの幅が広がります。本業では管理栄養士としての専門的な業務のみを担当していましたが、副業でマーケティングやデザインの知識と経験を積めたので、飲食店のマーケティングやメニュー開発の仕事に就くことができました。
本業と副業でさまざまな経験を積んだことで、管理栄養士としてのキャリアの幅が広がったと実感しています。
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管理栄養士が副業を行うデメリット
副業にはメリットがある一方で、デメリットもあります。1つは、プライベートの時間が減ってしまうことです。本業に加えて副業を行うことで、休息やリフレッシュの時間、家族と過ごす時間などが制限されます。特に不規則な勤務形態の職場で働いている場合は、体力的な負担が大きくなってしまうかもしれません。無理をすると、本業・副業ともパフォーマンスが低下するリスクもあります。特に本業に支障をきたすようであれば、本末転倒といえるでしょう。
副業を始める前には、デメリットを理解した上で、自分のライフスタイルや目標に合っているかどうかを十分に検討することが大切です。
管理栄養士の副業の多くは受託がメインとなるため、収入の波が大きい点は注意が必要です。
また、稼働時間が増えたり、休日が少なくなったりするので、体調を崩しやすくなります。体調を崩すと本業にも副業にも迷惑をかけることになるため、体調を崩す前に休息をとることを重視していました。
さらに、副業はスケジュール管理も重要なポイントです。複数の案件を抱えていると常に締め切りに追われます。その中で、本業でトラブルが起きて残業が発生すると、思い通りに動けず本業と副業のすべてが遅れる可能性もあります。時にはクライアントへ交渉しながら余裕を持ってスケジュールを設定し、少しでも時間ができたら副業の作業を進めておくことで、トラブルがあってもうまくスケジュールを調整することができます。
管理栄養士は選ばないほうがいい副業
管理栄養士の資格を持っているのであれば、副業をする場合はできればその強みを活かしたいものです。ここでは、管理栄養士は選ばないほうがいい副業について解説します。
管理栄養士の資格が活かせない副業
管理栄養士の資格が活かせない副業は選ばないほうがいいでしょう。例えば、単純作業のアルバイトや、特別なスキルを必要としない仕事は、管理栄養士という専門性を活かせるわけではありません。
もちろん、趣味の延長として楽しみながらできる仕事であれば、資格を活かせなくても副業の選択肢として考えられます。しかし、管理栄養士としてのスキルアップも考えるのであれば、専門性が活かせる仕事を選んでみてください。
リスクが高い副業
避けたほうがいい副業としては、リスクの高い仕事が挙げられます。特に、法的なリスクがある副業は注意が必要です。例えば、マルチ商法やネットワークビジネスは、法律に抵触する可能性がある仕事も中にはあります。友人や知人を勧誘する必要があるビジネスモデルは、人間関係にも悪影響を及ぼすかもしれません。
また、仕事ではありませんが、FX(外国為替証拠金取引)や株式投資、不動産投資などは、収益を得られる可能性がある一方で、大きな損失を被るリスクもあります。管理栄養士が副業を選ぶ場合には、リスクが高い副業は避け、経験を活かせる仕事を選ぶことが重要です。
管理栄養士が副業を行う際の注意点
管理栄養士が副業を始める際には、いくつか注意しておきたい点があります。これらを理解しておくことで、トラブルを避けて安心して副業に取り組むことができるでしょう。
就業規則を確認する
副業を始める前に、まず本業の会社の就業規則を確認することが重要です。多くの企業では、副業に関する規定を設けています。就業規則で副業が禁止されている場合は、原則としてその規定に従う必要があります。禁止されているにもかかわらず副業を行うと、就業規則違反になってしまうかもしれません。
また、副業の申告が必要とされている場合は、きちんと手続きを行いましょう。必要な書類を提出し、会社の承認を得てから副業を始めることが大切です。会社に隠れて副業をすると、発覚した際に大きなトラブルになりかねません。特に、本業と同じ業界や競合する企業の仕事を請け負うと、利益相反や守秘義務違反と見なされる可能性もあります。本業に影響のないよう副業に取り組むことが大切です。
ワークライフバランスを考慮する
副業をする際には、過度な負担がかからないようワークライフバランスを考えるようにしてください。本業のパフォーマンスに影響するようでは本末転倒です。健康を害してしまっては、本業も副業も続けられなくなってしまいます。副業を始める際には、自分の体力や空き時間を客観的に把握し、無理のない範囲で取り組むことが大切です。最初は短い時間から始めて、徐々に増やしていくのも1つの方法です。
また、副業をするなら家族の理解や同意も得ておきましょう。副業によって家庭での役割がどう変わるかを事前に話し合っておくことで、後々のトラブルを避けることができます。ワークライフバランスを崩さないよう、計画的に取り組むことが大切です。
確定申告が必要な場合がある
副業で得た収入については、確定申告が必要になる場合があります。具体的には、副業の所得が年間で20万円を超えたり、副業の企業からの源泉徴収されない給与所得が20万円を超えたりした場合です。
個人事業主として請負や業務委託の形で副業を行う場合は、給与所得ではなく事業所得または雑所得となり、収入から必要経費を差し引いた所得に対して税金がかかります。確定申告を適切に行わないと、無申告加算税などのペナルティがあるので注意しましょう。
管理栄養士で副業をする際は、本業先とトラブルにならないようにすることが重要です。例えば、本業先でもレシピ開発を行っていて、副業でもレシピ開発を行う場合、秘密保持契約に抵触する可能性が出てきます。さらに、雇用契約書や就業規則に競業避止義務(競業禁止)が定められている場合、本業と類似する内容の副業を行うこと自体が禁止されている可能性もあります。そのため、本業と業務内容が重なる副業は避けた方が安全です。
また、確定申告などの税金関係と、それにかかる時間も必要です。確定申告のために、請求書の作成、白色申告と青色申告の違いなどの税務管理のインプット、経費のレシート管理などの雑務も行う必要があり、想定以上に時間がかかります。副業の業務内容以外にも、これらの周辺業務を行う時間が必要なことは認識しておいた方がいいでしょう。
さらに、副業での取引先とのトラブルにも注意が必要です。私の副業開始当初は、知識も経験も浅かったため、契約書を読み込まずに業務を引き受けていました。そのため、当初の想定よりも報酬が減ってしまい、困ったことがあります。そのほかにも、業務を大方進めて納品間近という段階で案件自体がキャンセルとなり、無報酬となったこともありました。
フリーランス新法ができたとはいえ、業務委託という性質上、辛い扱いを受けることも少なくありません。契約書の知識など、自身を守る術を身につけることも重要だと強く感じています。
管理栄養士の資格や経験を活かしてキャリアの幅を広げよう
管理栄養士の資格や経験を活かした副業は、収入アップだけでなく、キャリアの幅を広げることにもつながります。副業の選び方や仕事内容、注意点を参考に、自分に合った副業を見つけてみてください。ただし、副業を始める際には、本業の就業規則を確認したり、ワークライフバランスを考えたりするようにしましょう。
また、現在の収入に不満がある場合は、副業だけでなく転職を検討してもいいかもしれません。管理栄養士・栄養士専門の求人サイト「栄養士のお仕事」は、副業探しも、転職にも役立つのでぜひ登録してみてください。

よくある質問
管理栄養士におすすめの副業は?
管理栄養士の副業には、管理栄養士としての経験や知識が活かせる仕事をおすすめします。専門的な知識を必要とする仕事であれば、比較的高い収入を得られるかもしれません。また、在宅でできる副業も、通勤時間がかからず、スキマ時間を有効活用できるというメリットがあります。
具体的には、「特定保健指導業務」「栄養価計算」「ウェブ記事の執筆・監修」「美容・ダイエット関連のトレーナー」「レシピ考案」「家事代行」などが挙げられます。自分の興味や得意分野、働き方の希望に合わせて選ぶといいでしょう。
管理栄養士に適した副業を見つけるにはどのような方法がありますか?
管理栄養士が副業を見つけるには、管理栄養士に特化した求人サイトを利用することをおすすめします。一般的な求人サイトでは見つからないような、専門性の高い仕事も多く掲載されており、自分の資格や経験が活かせる仕事を効率よく探すことができます。
また、インターネット上で企業が個人などに業務を依頼するクラウドソーシングサービスや、自分のスキルを商品として提供できるスキルシェアサービスを利用すれば、場所や時間に縛られず、自分のペースで仕事ができるでしょう。
管理栄養士が副業を行うメリットとデメリットを教えてください。
管理栄養士が副業を行うメリットは、本業では難しいさまざまな経験を積むことができ、新しい視点や知識を得られることです。もちろん、収入が増えることもメリットといえます。
デメリットとしては、プライベートの時間が減ることで、リフレッシュの時間や家族と過ごす時間が少なくなることが挙げられます。メリットとデメリットを理解してから副業を始めることが大切です。
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