自己分析の仕方|栄養士のお仕事

自己分析とは「自分を客観的に分析する作業」のことをいいます。

就職活動を成功させるためには、「自分に合った就職先を選べるか」「就職先に自分のことを伝えられるか」が要です。
そのためには自己分析をして自分のことを理解する必要があります。

ここでは就職活動を行う上で自己分析が必要な理由と、栄養士における自己分析の方法についてご紹介します。

自己分析が必要な4つの理由

「自分のことは自分が1番分かっているはず…」と思われるかもしれませんが、自分のことを客観的に見ることは難しいものです。「自分のことを最もわかっていないのは自分」とも言えるでしょう。

就職活動において自分のことを理解するメリットは以下の4つが挙げられます。

就職先の条件を絞りこめる

自分の強み・弱み、やりたいこと・やりたくないことを認識することで、数ある転職先から自分に適した職場を絞り込むことができます。自己分析がしっかりできれば、履歴書の志望動機も悩まずに書けるようになります。また、自分のことを掘り下げて考えてみると、今まで選択肢になかった新たな職場に挑戦するきっかけにもなります。

*管理栄養士・栄養士の資格を活かした就職先の例*

  • 病院やクリニック、産婦人科などの医療機関

  • 学校給食センターや小中学校(学校栄養職員は管理栄養士または栄養士の資格があれば就くことができますが、栄養教諭になるためには栄養教諭の免許が別途必要です)

  • 幼稚園や保育園、児童養護施設

  • 大学、企業などの研究機関

  • 介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、障がい者施設などの福祉施設

  • 給食委託会社や食品会社

  • スポーツジムやアスリート専属のスポーツ栄養

  • 都道府県や市町村などの地方自治体、保健所や市町村保健センターなどの行政機関

アピールポイントが明確になる

今までにどのような経験をしてきたかを整理し、自分の強みや弱みを知ることで、自己PRを具体的に、また自分のオリジナルなものとして表現することができるようになります。

面接での思わぬ質問にも一貫した対応ができるようになる

自己分析を綿密に行い、自分の軸をしっかりと持っていると、面接時に思わぬ質問をされても、一貫性のある対応をすることが可能になります。

転職後のミスマッチを防げる

自分のことを理解せずに、なんとなく求人の待遇面だけを見て転職してしまうと「この仕事は自分に向いていなかった…」と後悔することになるかもしれません。自分の軸に沿った転職先を選ぶことでミスマッチの可能性を下げることができます。

栄養士における自己分析の方法

まずは学生時代まで、次に社会に出てからの経験や価値観、最後に「これからの転職活動」について、順を追って考えていきます。

学生時代までの自己分析

ここでは「学生時代に取り組んだこと」「発揮した能力(褒められたことなど)」を、勉学やクラブ・サークル活動、アルバイト、長期休暇中の活動、家庭環境などを項目ごとに思い出し、書き出していきます。

「これは自己PRにならない」などと判断せず、まずは出来るだけ思いつくままに箇条書きにしていくとよいでしょう。また栄養士を目指すきっかけになった出来事も、ここで書き記しておきます。

その後、自分の価値観に影響したと思われる出来事をピックアップし、「その時どう感じたか」「その出来事が今の自分にどう影響を与えているか」を書いて、自分がどういった性格なのかを分析します。

  • 価値観に影響した出来事

  • その時どう考えたか

  • 現在の自分にどのような影響を与えているか

例)

  • 中学時代、テニス部に所属していた。体力がなくてよくバテていたが、母が作ってくれたお弁当を食べると、不思議と元気が沸いた。母に聞くと、私の好きなメニューと、健康を考えて野菜を必ず入れていることを教えてくれた。

  • 食事は美味しいものであるとともに、健康を想って作ることの大切さを学んだ。

  • 大好きな食を通して、多くの人の健康を支えられる管理栄養士を目指したいと思うようになった。

社会に出てからの経験や価値観

転職活動では、学生時代までの自己分析に加えて、社会に出てからの経験や価値観を、どのようにアピールできるかが大きなポイントになります。

学生時代までの自己分析の次は、ご自身の社会経験を振り返り、キャリアの再確認を行います。

今まで携わってきた仕事に対して、「評価されたこと(成功体験)」「工夫したこと」とともに「苦手だったこと(弱点)」「仕事へのこだわり」を思い返してみてください。

評価されたこと、工夫したこと

「何かの業務で表彰された」、「学会での発表担当になった」といった分かりやすく評価されたものだけではなく、些細なことでも褒められたことや、小さなことでも感謝されたことや工夫したことについて、ノートに書いてみましょう。

次に書き上げたら、「なぜ評価されたのか(褒められたのか、感謝されたのか)」、「自分のどういった強みを活かして工夫できるまでに至ったのか」を掘り下げていきましょう。

この分析した内容は、ご自身の長所をエピソードとして具体的に説明することや、これからの仕事においてアピールできる強みを把握する上で必要なものです。

ぜひ前向きに考えてみてください。

またご自身の性格を表すキーワードとして、以下に長所の例を記載します。

自分の長所を当てはめてみる際の参考にしましょう。

長所をキーワードに当てはめてみましょう

性格
積極性・堅実性・想像力・継続力・集中力・行動力・計画性・忍耐力・適応力・向上心・チャレンジ精神・責任感
対人関係
社交性・誠実性・リーダーシップ・協調性・親しみがもてる・プレゼンテーション力
身体能力
体力・持久力・機敏

例)

評価されたこと
食材や調理器具の発注担当になってから、今の食材や調理器具で使いにくいところがないかを調理担当者1人1人に聞いて回り、必要だと感じたものを稟議に上げ、業務の効率化とともに仕事をする上でのモチベーションアップを図った
なぜ評価されたのか
自分1人で考えて決めるのではなく、業務に携わる人全員に意見を募ったことで、部署内で一体感が生まれるとともに、相談しやすい環境づくりに成功したため
長所
行動力がある、協調性がある

苦手だったこと、弱点

自分の苦手なものを克服するためには、大きな労力が必要です。

もしくは苦手な仕事がメインの就職先であれば、せっかくの長所を活かせない可能性があります。

「苦手だったこと」「弱点」もこの機会に向き合う時間を設けましょう。

失敗した経験を書き出し、そのことに対して「なぜ失敗したのか」「自分のどういったところが弱点になったのか」を説明できるようにします。

評価されたことに加えて、苦手なことが理解できたことにより、無意識で行っていた自分の弱点を理解するきっかけになるかもしれません。

例)

苦手だったこと
大人数を対象とした講演会や教室でのプレゼンテーション
なぜ失敗したのか
緊張しすぎるあまり、受け答えが上手くいかなかった
不足している能力
大人数を前にしても動じない精神力

これまでの仕事で大切にしてきたこと、こだわり

今まで仕事をする上で、大切にしてきたことはありますか?

例えば「どんなに忙しくても目をみて挨拶をする」「1日1回は必ず全員に声をかける」「どんな仕事でもダブルチェックを怠らない」など、些細なことでも構いません。

ご自身が大切にしてきたこととともに、それを大切にする理由を書き出してみましょう。

また給与や通勤時間、早番や遅番があるのか、事業所で勤めたい場合は、その法人の規模や1食あたりの食数が何人くらいか、給食経営が直営か委託のどちらかなども、仕事選びのこだわりとして、必ず考慮に入れておきましょう。

例)

大切にしてきたこと
食事を楽しみにしている利用者のことを常に考えながら業務を行うこと
それを大切にする理由
心身ともに健康になってもらいたいため
仕事選びのこだわり
栄養管理だけではなく給食業務に携われるところ

これからの転職活動の軸を決める

今までの自己分析から、自分がどのような仕事に向いているかを分析し、どの部分を自己アピールできるかをまとめていきましょう。
これは転職活動を行う上で、自分の軸になります。

目標
美味しさとともに、健康をサポートできる栄養士になりたい
経験
業務に携わる人全員に意見を募り、業務改善を図った
長所
行動力がある、協調性がある
弱点
大人数を前にしても動じない精神力
仕事選びのこだわり
栄養管理だけではなく、給食業務に携われるところ

以上の自己分析を踏まえると、この方は給食業務に重点をおいた、あまり大規模ではない病院勤務が向いていることが見えてきました。

転職活動をしていると、内定を得るために本来の自分とはかけ離れた人物像を演じようとしてしまいがちです。

たとえそれで内定を得ることができても、就職後にミスマッチに苦しむ可能性が高いでしょう。

そういったことがないように、自己分析で自分の軸を明確にし、就職先を選ぶことが大事なのです。

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